電通インターンの過去問では、「ストーリーをつくる」問題が、よく出題されています。
今回は、以下の例題をもとに、5つのステップで回答を考えてみましょう。
新しく見つかった日本昔話「〇〇〇〇山」のタイトルと、ストーリーを考えてください。
問題文から、作るべきストーリーの設定を考えます。
ストーリー問題の場合、「日本昔話」や「イソップ物語」といった形式が指定されていることが多いため、
それらのストーリーが、共通して満たしている条件を見つけて、条件を満たしたストーリーを考える必要があります。
今回は、「新しく見つかった日本昔話」を出題者は指定していますが、
日本昔話とは、具体的にどのようなストーリーを指すでしょうか。
まず、古くの日本が舞台となっています。
また、ほかの日本昔話を考えると、何らかの教訓を含んでいることが分かると思います。
◆「日本昔話」と「教訓」の例
『つるの恩返し』⇒「約束を守らなければ、痛い目にあう」
『さるかに合戦』⇒「悪いことをすると、自分に仇となって返ってくる」
『浦島太郎』⇒「楽しいことにうつつを抜かしているとあっという間に時間が経ってしまう」
さらに今回は、タイトルに「山」を含めることが提示されているため、ストーリーの中に山を登場させることも条件のひとつとなります。
従って今回は、「昔の日本を舞台としている」「何らかの教訓を含んでいる」「山に関連する」という3つの条件を満たしたストーリーを作ることが条件となります。
◆ストーリーが最低限満たすべき条件◆
①昔の日本を舞台としている
②何らかの教訓を含んでいる
③山に関連している
STEP1で定めた条件に、具体的なストーリー設定を当てはめていきます。STEP1で考えた「ストーリーに必要な条件」を
満たした結論を考えます。
たとえば、「笑える」ことが条件であれば、何らかのギャグやネタを仕込む必要があり、
「泣ける」ことが条件であれば、感動できる意外性を含める必要があります。
今回は、「何らかの教訓を含んでいる」という部分が、ストーリーの核となるため、
まずはどんな教訓を含めるか考えてみましょう。
教訓を考えるうえでヒントになるのが、「ことわざ」です。
「ことわざ」には、多くの教訓が含まれています。
それらの中から、日本昔話に使いやすい教訓を選んで、設定を決めましょう。
◆考えられる教訓(ことわざ例)
・急がばまわれ
⇒多少の手間や時間がかかる回り道であっても本道を行くほうが、結局は早く目的地に着くということ。
・聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥
⇒知らないことを人に聞くのは、そのときは恥ずかしいと思っても、聞かなければ一生知らぬまま過ごすことになるので、そのほうが恥ずかしいということ。
・悪銭身につかず
⇒苦労して手に入れたお金は大事にするが、不当な方法で得たお金は、浪費してすぐに使い果たしてしまう。
・悪に強ければ善にも強し
⇒大きな悪事を犯すような人間は、元々強い精神力の持ち主であるから、一旦改心すると、その精神力で、驚くほどの善人になる。
・塞翁が馬
⇒幸福や不幸は予想のしようのないということ。「良い」と思ったことが「悪いこと」に繋がることもある。逆も然り。
今回は、「塞翁が馬」の「幸福や不幸は予想のしようのない」という部分を切り取って、
ストーリーに当てはめていきましょう。
◆ストーリーの結論◆
「幸福や不幸は予想のしようのないものだ」という教訓を結論とする。
ストーリーの結論を決めたら、次に「ストーリーを読んだ人に誘起させたい感情」を決めます。
なぜなら、読んだに誘起させたい感情によって、ストーリーの細かい設定が変化するためです。
感動させたいのであれば、家族や友情、恋愛に関する背景で設定する必要があり、
笑わせたいのであれば、何らかのギャグや、ネタを埋め込む必要があります。
ストーリーの結論の範囲内で、ストーリーの細かい設定を決めるために、読む人に誘起させたい感情を決めます。
「幸福や不幸は予想のしようのないものだ」という教訓を含んだストーリーを読んでもらうことで、
読んでもらう子どもたちに、どのような感情を誘起させればよいでしょうか。
子どもの頃は、特に「テストの成績が下がった」「忘れ物をしてしまった」など、
目の前の出来事に対して一喜一憂をしてしまいがちです。
しかし、例えば「テストの成績が悪かったことで、悔しくて勉強して、のちに志望校に合格できた」
「教科書を忘れてしまったけど、その時教科書を借りたことがきっかけで、友だちが出来た」など
常に、「良いこと」「悪いこと」は、その後になってみなければ、分からないものです。
上記のように、子どもたちに、このストーリーを通して「失敗も気にしなくていいんだ」と思ってもらうことが、
誘起させたい感情になります。
◆ストーリーを読んだ人に誘起させたい感情◆
「失敗しても、気にしなくていい」「悪いことがあっても、良いことのきっかけになるかもしれない」
見た人に誘起させたい感情まで定めた段階で、実際のストーリーの中身を考えます。
STEP1~STEP3までで考えたことをストーリーの技法を用いて、形にします。
ストーリーの技法については、下記からチェックして下さい。
STEP1~STEP4を踏まえると、今回のストーリーに含めるべき要素としては、主に以下の4つです。
「『幸福や不幸は、予想できないことだ』という教訓を結論に持ってくる」
「読んだ人が、『失敗しても気にしなくていいんだ』と感じる」
「山に関連するストーリーである」
「昔の日本を舞台としている」
まず、このストーリーの核となる「幸福や不幸は、予想できない」という教訓を結論に持ってくるためには、
何らかの「良いと思ってしたことが、悪い結果を招いてしまった」という結末が必要です。
ここで、「昔の日本を舞台とする」「山に関連する」という設定を踏まえて、考えてみましょう。
昔の日本の山で、良いと思ってしたことが、悪い結果になってしまうという場面を作ることが可能なシーンを考えてみましょう。
◆良かれと思ってしたことが、悪い結果になってしまう場面例
・山に棲む鬼を退治して、村に平和をもたらそうを考えるが、結果的に、鬼を退治してしまったことで、村が荒れてしまった。
・病気の母を助けるために、山の頂上にある薬草を苦労して取ってきたら、実は毒草で、母親を殺すことになってしまった。
・山をキレイにするために、ゴミ拾いをしていたら、実は登山者たちは、あるゴミを目印に歩いていて、山で遭難する人が続出してしまった。
今回は、この中から「山に棲む鬼を退治して、村に平和をもたらそうを考えるが、結果的に、鬼を退治してしまったことで、村が荒れてしまった。」
を結論にして、ストーリーを考えてみましょう。
◆ストーリーの回答例◆
北風と太陽、アリとキリギリス、ウサギとカメ、などで有名なイソップ童話。2015年版の新たな教訓を教える「イソップ童話」をオリジナルで作りなさい。(’15年/Aコース)
新しく作った日本昔話「●●●山」のタイトルとストーリーを考えて下さい。(タイトル:10文字以内/内容:400文字~800文字以内)(’17年/Aコース)