電通インターンの過去問では、「ストーリーを考える」問題がよく出題されています。
ここでは、STEP1~STEP4までを考えたうえで、ストーリーを上手く形にするための3つのストーリーの技法をご紹介します。
問題で指定されたジャンルの中で、名作と言われるストーリーを徹底的に分解し、プロット化します。
このプロットに様々な設定を当て込んでいくことで、ストーリーのベースが完成します。
◆映画の3幕構成
1.「問題の提起」
2.「問題の複雑化」(信じていたものが崩壊する)
3.「問題の解決」
◆映画「ダイハード」のプロット
1.主人公が何らかの課題を抱えている。
2.事件がおきる
3.敵と戦う
4.結果幸せになる
◆映画「ダイハード」のプロットを使った「時代劇」のストーリー
⇒明治が始まったばかりの頃。冴えないもとぶ市の男は、好奇心旺盛な妻がはじめた貿易会社がどんどん大きくなり、
家の中で日に日に存在感をなくしていた。
ある日、男は妻が貿易交渉しているオランダからの船に、妻の忘れ物を届けに行く羽目になる。
ところがその船は、貿易船とは名ばかり。
真の顔は、アヘンの密売組織のアジトだった。
何も知らずに船に乗り込んでしまった男の、孤独な救出劇がはじまる。
男は船の中でとらわれていた老化学者と出会う。
その科学者の知識を使って、二人は組織に戦いを挑む。
無事戦いが終わって、男は妻にこういった。
「お腹が空きましたな」
妻は男を見直した。男はちょっと、それを煙たがる。
◆映画「ダイハード」のプロットを使った「恋愛もの」のストーリー
⇒それは九州の小さな街の話。今まで一度ももてたことのない女の子がいた。
その女の子は新しいバイト先で運命の恋をした。
どこからどうみてもイケメンで、どこをどうきってもジェントルマンなその男の子は超高嶺の花。
女の子は、自分の中でふくれる思いにつぶれそうになって毎日を過ごしていた。
ある日、その男の子を狙っている女子グループの存在を知る。グループは姑息な手段を使って、彼のココロを射ようとしていた。
女の子は、そのグループの作戦をなんとか阻止しようと試みる。
そんなある日、男の子が東京の大学に行くらしいと噂が広まる。女の子は、生まれて初めての告白を決意する。
女の子の友人が、彼女の改造計画を立てる。女の子は、あらゆるモテスキルを習得し、理想の女子に近づいていく。
そのプロセスで彼女は様々なことを学んで成長していく。
そして、運命の日。突然話がある、とその男の子から呼び出される女の子。どきどきしてその待ち合わせの場所に行くと、
男の子の後ろに、もうひとりの男の子がいた。
「あいつが好きらしいんだ」
女の子は告白する前に、ふられてしまった。
けれど、人生初めての告白をしてもらう日になった。
面白いストーリーには、必ず「敵対関係」の要素が含まれています。
敵の設定の仕方には大きく分けて、以下3つの種類があります。以下3つの敵を単体で登場させたり、
組み合わせることによって、ストーリーに面白さが生まれます。
A:主人公の外からやってきた存在(外の恐怖)
⇒ドラキュラ、悪の組織、通り魔、スポーツ・勉強のライバルなど
point:
隠れているもう一人の敵を設定しておく。
B:主人公の内部に巣食う制御不能な存在(内の恐怖)
⇒おおかみ男、泥酔状態の人間など
point:
自分自身が敵であるため、エンディングで主人公を殺す
C:主人公の悪事が生み出した存在(因果の恐怖)
⇒フランケンシュタインの怪物など
point:
敵の目的を「主人公への復讐」に設定する。
◆3種類の敵を上手く使ったストーリー例
①ドラゴンボール
A:主人公の外からやってきた存在
⇒ピッコロ、フリーザ、など
B:主人公の内部に巣食う制御不能な存在
⇒サイバイマン、人造人間16号、18号、など
C:主人公の悪事が生み出した存在
⇒セル、魔人ブウ、など
②千と千尋の神隠し
A:主人公の外からやってきた存在
⇒湯婆婆
(千尋が働く「油屋」の経営者)
B:主人公の内部に巣食う制御不能な存在
⇒カオナシ
(現代の日本人の心の闇を映した存在)
C:主人公の悪事が生み出した存在
⇒千尋の両親
(序盤で、豚に変身してしまう)
物語を進められるのは、登場人物だけです。
物語の設定や進行を説明するために、セリフや映像を使うと、作り手の意図が透けて見えてしまい、
物語がチープなものになってしまいます。そのため、「セリフ」と「映像」は、常に別のことをするように意識しましょう。
◆「セリフ」と「映像」で別のことをしている例
①男が一人で応接間にいるシーン
A:セリフと映像が同じになっている例
⇒男「くそう、緊張してきた」
B:セリフと映像が別々になっている例
⇒煙草に火をつける。が、灰皿には既に火のついた煙草がある。
②二人の男女の別れ際のシーン
A:セリフと映像がおなじになっている例
⇒別れ際に女が男にいう。「淋しい」
B:セリフと映像が別々になっている例
⇒別れ際に女が男にいう。「こんどいつ会える?」