広告代理店で働く女性の現実 – 元代理店勤務女子が語る職場環境

「広告代理店」といえば、どのようなイメージをお持ちでしょうか?

「華やかなイメージ」、「オシャレなイメージ」もしくは「激務」、「結果を出さなかったら(成績が悪かったら)窓際社員にされるのかな・・」などのイメージをお持ちの方も多いのではないかと思います。

一口に「広告代理店」と言っても、企業によって方針や社風、働く社員のカラー・雰囲気は異なります。ただ、共通して言えることは、「広告代理店は、努力次第で活躍できるチャンスがある業界」だということです。

もちろん、どの業界・業種、そしてどの企業も努力次第で活躍できます。特に、近年は男女平等、ダイバーシティを大切にしている企業も増えています。しかし、その中でも特に広告業界は女性も多く活躍している業界だと言えます。

今回は、女性が活躍できる業界・業種である「広告代理店で働くこと」について、そして、そこで働く女性の現実について、元広告代理店勤務をしていた私、小谷ありさが詳しくご説明します。

1.広告代理店の営業に女性は向いているか?


男性比率が高いイメージがある広告代理店ですが、女性は広告代理店の営業に向いてるのでしょうか?私の個人的な見解では「男性よりも女性の方が、営業に比較的向いている」ように思います。

代理店の営業に女性が向いているように思う理由は、広告営業では「顧客理解力」や「コミュニケーション能力」などが重要で、女性はそれらの能力に長けている場合が多いためです。

そもそも営業職には、大きく分けて「有形商材の営業」と「無形商材の営業」の2種類があります。

◆有形商材
⇒食品、自動車、不動産、家電など「形のある商品」のこと。

◆無形商材
⇒コンサルティング、人材紹介、ITソフトなど、「形のないサービス」のこと。

もちろん「広告営業」は後者の「無形商材」に含まれます。

「有形商材」の場合は、手元にある商品をクライアントに販売することから、「ニーズの開拓力」や「マーケティング能力」が重要です。

一方「無形商材」の場合は、手元の商品がなく、複数の媒体や企画を組み合わせてクライアントの課題を解決することが求められることから、「顧客理解力」や「課題解決力」そしてコミュニケーション能力が重要になります。

「顧客理解力」は、コミュニケーションや気遣いに通じる部分が多く、その点で女性は一般的に「相手を理解する能力」に長けていると言われます。

具体的には、「クライアントの曖昧な要望を明確な言葉にする」、「クライアントの課題を理解し、解決方法を提案する」など相手の要望を理解して、課題解決方法を提案するという一種のコミュニケーションです。

そのため、傾聴力があり、相手の心を読み解いたり、相手の立場になって物事を考えやすいと言われる女性にとって、「無形商材」の営業である広告営業はとても有利だと思います。

2.営業以外の仕事に女性は向いているか?

営業以外の仕事であっても、必ずしも向いていないということはありません。

特に、「クリエイティブ職」、「経理」、「総務・運営」、「事務職・営業内勤」などは比較的女性が働きやすい職種だといえます。

ここでは、上記4つの職種が女性におすすめできる理由についてご説明します。

(1)クリエイティブ職


クリエイティブ職とは、営業担当者が獲得した企画をグラフィックデザインやコピー(文字)として形にする仕事です。動画やイラストだけでなく、コピーや記事執筆もクリエイティブ職の仕事です。

世の中の広告には、男性目線のものだけでなく、化粧品やアパレル、ウェディングなど女性向けの商材や広告も多く存在します。

そのため同性の目線で、女性が素敵だと思う広告を作るために、女性のセンスは大きく貢献できます。

(2)経理職


経理職は、会社全体のお金を管理する職種で、最もミスが許されない職種です。

もちろん営業担当であってもミスが許されるわけではないですが、営業であれば謝罪などのコミュニケーションを通して真摯に対応すればトラブルを挽回できることもあります。

しかし、経理の仕事は会社のお金を扱うことから、取り返しのつかない事態になることがあります。そのため、日頃からミスが少なく、同じことを何度も繰り返し確認できるタイプの人に経理の仕事は向いています。

その点で女性は男性と違ってマジメに細かくチェックしたり、管理する業務に長けている人も多いので、実際にも広告代理店の経理に女性は多く、女性が活躍しやすい職種のひとつです。

(3)総務・人事


総務・人事は、訪問者や業者への対応をしたり、社員が働きやすい環境を作ることが仕事です。総務・人事は「会社の顔」と言われるほど、実は様々な人と関わることが多い職種です。

代表的な仕事が「人事」です。人事は毎年学生や中途採用希望者からの応募に対して、最初に接触する窓口であり、ホスピタリティーのほかにも会社全体の業務内容を理解していなければなりません。

細かな気配りができ、笑顔でありながらも冷静に物事を判断できる女性が向いている仕事です。

(4)事務・営業内勤職


事務・営業内勤職は、社内に掛かってくる電話対応や外に出て営業をしている営業をサポートする仕事です。

事務・営業内勤職は、営業担当者に比べて外出する機会が少ないので、働く時間に制限があるママさんや、既婚者の方も多く働いています。

例えば、営業担当の資料作成時のデータ集計や、課内の勤務調整・管理など日々の様々なサポート業務を行うことが求められます。

営業をはじめ周囲の人たちが仕事しやすい環境を作る、いわば縁の下の力持ち的なサポーターとしての細かい気配りや配慮も必要となるため、女性におすすめできる職種のひとつです。

3.代理店で働く女性に必要な能力は?

広告代理店の仕事において「顧客理解力」が大切であることは述べましたが、もちろん必要なスキルはそれだけではありません。ここでは、広告代理店に就職・転職したい女性に必要なスキル・持っていると望ましい能力を3つご紹介します。

(1)継続的な努力


広告代理店の仕事と言えば、オシャレな広告を作ったり、トレンドに敏感なファッションをした営業担当など、華やかなイメージをお持ちな人も多くいらっしゃると思います。

もちろん、企業や社風によっても異なりますが、広告代理店の仕事は基本的に泥臭い仕事も多いのが事実です。

具体的には、企画を断られても何度もクライアントのもとへ足を運んで信頼関係を構築したり、企画立案のため社内調整でスタッフと何回も打合せを繰り返したり、時にはクライアントの新商品を試すために実際に現場に足を運んで買ってみたり、と地道な仕事も多いのです。

特に、若手時代、新入社員時代(新卒・中途)は泥臭い、地味な仕事を数多く経験します。私の同期や後輩たちの中には、「自分が思っていた広告業界とは違う」と言って辞めていく社員もたくさんいました。

この泥臭い地道な仕事の時期を、継続的な努力で乗り越えた人だけが、広告代理店の仕事のやりがいや楽しさを見つけることができます。

(2)分析力


かつての広告代理店に対しては、接待や度重なる残業、そして厳しい上下関係など、体育会系なイメージを持たれている方も多いと思います。

たしかに10~15年ほど前まではテレビCMが広告の大半を占めており、出稿するまでが仕事の中心となっていた時代もありました。

しかしインターネット広告が盛んになった現在では、単に広告を出稿・掲載するだけでなく、効果測定・分析までを一貫して行うことが、広告業界で働く人に求められるようになっています。

また、分析をもとにターゲットを明確化して適切な訴求やリーチ方法を考える能力や、複数の媒体やキャンペーンを組み合わせたプランニング力も大切です。

(3)コンサルティングスキル


先ほど述べた通り、広告営業は以前のように単に掲載するまでの事務作業ではなく、広告の掲載結果の分析や改善提案まで求められています。

さらには、そもそもクライアントの広告目標に対して、データに基づく科学的・論理的アプローチが求められており、よりコンサルティングにも近い要素が必要となってきています。

4.広告業界の女性の年収・給料は?


広告代理店では、女性と男性で給与が違うことは、ほとんどありません。
現代は、男女差に対して厳しい時代ということもあり、ほとんどの企業で、男女平等でキャリアや役職に応じた給料設定をされています。

ちなみに、大手転職サイトである「DODA」の『平均年収ランキング2016』によると、広告業界の平均年収は全体が398万円、そのうち男性の平均年収が432万円、女性の平均年収が349万円という結果がでています。
(参考:https://doda.jp/guide/heikin/gyousyu/)

ちなみに、広告業界以外の業界の平均年収ランキングを見ると、

  • 1位:メディカル 平均年収529万円(男性625万円、女性395万円)
  • 2位:金融 平均年収485万円(男性589万円、女性382万円)
  • 3位:メーカー 平均年収479万円(男性518万円、女性373万円)
  • 4位:IT・通信 平均年収479万円(男性505万円、女性399万円)
  • 5位:総合商社 平均年収454万円(男性454万円、女性365万円)

(参考:https://doda.jp/guide/heikin/gyousyu/)
という結果でした。そして、気になる広告業界が含まれている「インターネット・広告・メディア業界は」全体の第7位でした。

このランキングを見ると、全体的に男性の方が女性よりも平均年収が高い傾向がありますが、これは女性の場合結婚や出産によってリタイアすることが多く、結果的に男性の役職者が多くなってしまうからです。

広告業界は数多くある業界の中でも、女性役職者が多い業界でもあるので、冒頭でお伝えした通り、自分の努力次第で役職をもらえたり、活躍できるチャンスがたくさんあると言えます。

5.広告代理店で働く女性に適した服装は?


広告代理店で働く女性に求められる服装は、「清潔感」と「トレンド」を感じさせる服装です。

なぜかというと、広告代理店の仕事は、営業担当者はもちろん、それ以外の職種の方も人前に出る機会が多いからです。

広告代理店は、仕事柄イベント出典や主催が多く、社外の人と接する機会が多くなります。

そのため営業職だけでなく、クリエイティブスタッフや人事・総務であっても、違和感を感じさせない服装を意識することが大切です。

具体的な服装としては、以下3つに当てはまるような服装が望ましいでしょう。

(1)ジャケパンスタイル


ジャケパンスタイルは、上下のスーツのカラーが異なるタイプのオフィスカジュアルな着こなしのことで、代理店では男女問わず多くの人間がこのスタイルで着ています。

ジャケパンスタイルでは、上がグレーのジャケット、下がネイビーのパンツスーツなど、堅くなりすぎない服装ができます。特に、イベントなどで動く際は、8~9分丈のパンツと合わせて、活動的なイメージを演出するのも良いですね。

(2)上下セットのスーツ


プレゼンや特別な場では、TPOをわきまえたスタイリッシュな格好をすることをおすすめします。
ネイビーやグレーなどの濃い目のカラーのスーツを合わせて着ると、かなり堅実な印象を与えます。

(3)シャツ・ブラウス・ニットの使い分け


広告代理店はオフィスカジュアルスタイルを良しとする企業も多い業界です。
そのため、スーツスタイルでも比較的自由が効き、自分のイメージに合わせて服装を選ぶことが出来ます。

プレゼンやクライアントに会いに行く時など、堅実な印象を与えたいときはシャツ、営業訪問やイベントなどのときはブラウスで柔らかく、カジュアルな雰囲気の場所にはニットを着るなど、TPOに応じてトップスを使い分けるのがおすすめです。

6.代理店で働く女性の結婚・プライベート事情


それでは広告代理店で働く女性たちは結婚できるのでしょうか?
もしくは結婚という形にこだわらなくてもプライベートは充実しているのでしょうか?ここでは広告代理店で働く女性の結婚やプライベートについて説明します。

広告代理店で働くことには激務な印象があり、プライべートの時間がないと言われることも多いですが、実際には結婚をしている女性も多いです。

そして広告代理店で働きながら結婚をした先輩の話を聞くと、時間を上手に使える人ほど結婚できることも分かりました。

もちろん企業によって勤務時間や勤務スタイルは異なるため、必ずしも勤務時間を上手に調整できる人が結婚できて、調整できない人は結婚できないというわけではありません。

ただし忙しい広告代理店での勤務においては、時間の調整や使い方が女性のプライベートを非常に左右する要素です。

7.プライベート充実のポイント


先ほど述べた通り、忙しい広告代理店および広告業界で働く女性のプライベートは「時間を上手く使える(調整できる)」という能力によってかなり左右されます。

「時間が上手に使える人」とは、具体的に以下の3つの要素に当てはまる人です。

(1)メリハリをつけた仕事のこなし方ができる人


毎日の業務をリストアップして、「今日はここまで」と割り切ってできる人や、逆に「今日はとことん仕事をして、明日の貯金を作る(明日の分の仕事も早めに終わらせて、翌日を楽にする)」という人はメリハリがついてプライベートの時間が取りやすい傾向があります。

(2)忙しい時でも明るく振る舞える人


仕事が忙しくなると、つい自分のことしか考えられなくなり、視野が狭くなるものです。しかし、辛い時こそ、明るくふるまい、周りを元気づけ、自分も頑張れるという人には、人が付いていきますし、応援してくれます。そういうタイプの方は、恋人からも大切にされ、結婚をする傾向がありました。

(3)無駄に仕事を引き受けない人


仕事をしていると、どうしても「仕事を頼みやすい人」というのは出てきてしまいます。言い換えれば、「雑用を押し付けやすい人」です。

もちろん、若手のうちは多少理不尽なことでも先輩の雑務を引き受け、こなすことが大切です。(ここを勘違いしてはいけません。)

しかし、結婚を考える年齢、キャリアになれば、雑務ばかり引き受ける人になってはいけません。

雑務が多いと仕事もなかなか終わりにくく、プライベートの時間も作れません。無駄に仕事を引き受けない人は、時間の使い方も上手だと言えます。

8.まとめ

今回は、広告代理店で働く女性の現実について、経験者の視点からご紹介しました。

結論として私は、女性が広告代理店で働くのはとてもおすすめだと感じています。

もちろん残業が多少多かったり、新人の頃は地道な仕事が多いなど、大変な部分はありますが、自分が提案したプランや広告が世の中で広まることはとても嬉しいことです。

また、社外社内を問わずたくさんの人と関わることができ、コミュニケーションを取れるのも広告代理店の魅力です。

私の経験上、広告代理店の仕事は正直、とても忙しいです。ただ、時間を上手に使える女性は結婚もしていますし、プライベートを充実させています。

以上が、私が考える「広告代理店で働く女性の現実」です。

今回の記事を読んだ方の中には、「イメージが変わった」と感じた人も多かったのではないでしょうか。
広告代理店は、人とのつながりで成り立つとてもやりがいのある仕事です。興味がある方は、ぜひ挑戦してみてください!

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ABOUTこの記事をかいた人

小谷ありさ

大学卒業後、教育系中堅広告代理店で高校教員、大学職員、企業人事と協力して、若者の進学・就職支援事業に従事。
現在は、新人教育・新人研修・採用・コンサルを行う。また、若者の就職、仕事に関する記事の作成を中心に執筆活動も行う。