まず冒頭で申し上げますが、私のデータ分析の仕事では「プログラミング」をほとんど使用していません。後ほど詳しく解説しますが、プログラミングが打てなくてもデータ分析の仕事は務まる場合は多いのです。
プログラミングを使用するデータ分析の仕事内容について知りたい方は、以下の記事(特に記事内の資料)で、とても分かりやすく解説されていますので、こちらをご覧になると良いと思います。
https://tjo.hatenablog.com/entry/2013/11/14/202610
他メディアの記事では「データ分析の仕事にプログラミングは必須」という表現が多いですが、私のデータ分析の経験上、Web広告(デジタルマーケティング)の分野では、必ずしもプログラミングを必要としないデータ分析業務も数多くあります。
「データ分析の仕事に興味があるけど、プログラミング経験がない」
といった心配・疑問を持たれている社会人の方・学生の方に対して、私の実務経験をご紹介することで転職や就職の参考になれば幸いです。
目次
1.デジタルマーケやWeb広告におけるデータ分析業務の基本的な流れ
「データ分析の仕事」と聞くと、プログラムを書いたり、複雑な関数や難しい統計を用いるイメージを持たれている方も多いかと思いますが、デジタルマーケティングやWeb広告におけるデータ分析の仕事は、それだけにとどまりません。
ここではデータ分析の仕事内容を5つの順を追って、見ていきましょう。
(1)分析対象・目的を知る
デジタルマーケティングやインターネット広告におけるデータ分析の仕事は、クライアント(顧客)の商品・サービスに関する分析や報告になるので、まずは分析対象の商品・サービスを知る必要があります。
例えば、以下のような情報をまず確認します。
・どんな商品・サービスなのか
・誰に向けた商品・サービスなのか
・クライアントが解決したい課題はなにか
・プロモーションの目的はなにか
・クライアントの要望は、なにか
クライアントの目的を把握せずに、データの分析を行っても、クライアントが求めていない分析・報告になってしまいます。
いくら素晴らしい分析や統計結果が出たとしても、仕事という面ではそれは自分よがりな内容です。分析内容が見当違いなものにならないよう、分析を行う前にクライアントに関する情報を必ず確認します。
(2)必要なデータを収集する
クライアントの情報を確認できたら、次に必要なデータを収集します。
データを収集する際に、プログラミング言語(R、Pythonなど)を使用する場合もありますが、よほど大量のデータを集計・分析する場合や複雑な統計を用いる場合を除けば、プログラミング言語を用いることは殆どありません。
特にデジタルマーケ/Web広告の分野では、GoogleやYahoo、DSP提供会社などがデータを収集するためのツールを提供しており、管理画面にアクセスすることで、必要なデータを取得できます。
(3)データを集計・分析する
分析に必要なデータを収集できたら、次に収集したデータを表やグラフの形式で集計し、メインである分析作業に移ります。
得られたデータ自体は、数字の集合体に過ぎず、それらをどう切り取り、どう見せるかによって、データの見え方も変化します。
ここがデータ分析者の最も重要な仕事だと思いますが、手順(1)で確認した「分析対象・分析の目的」に沿って、クライアントにも納得感があり、かつ本質的な改善につながる指摘を盛り込めるように分析していきます。
(4)資料の形式に整形する
分析内容が定まったら、資料の形に整形していきます。
分析した資料を報告する相手は、データ分析の専門家ではなく、商品・サービスのマーケティング担当者たちです。
したがって資料は、データのことが全く分からない初心者でも理解できるように、分かりやすく、できる限りクライアントの知っている言葉で表現することに気をつけます。
(5)社内、クライアントへの報告
作成した資料を、社内の営業担当への共有、クライアントへ報告します。
クライアントとの関係性によっては、直接打合せ(報告)に出向くこともありますし、場合によってはメールのやり取りで簡潔することもあります。
特に、直接報告に出向く場合は、クライアントからの質問も想定して、どんな質問にも答えられるように準備しておくことがマナーです。
分析やコンサルティングといった無形商材では、成果が目に見えにくいため、有形商材以上に、クライアントとの信頼関係が大切です。クライアントに信頼してもらえるような、コミュニケーション能力も欠かせないスキルだといえるでしょう。
2.データ分析を仕事にするうえで身につけておきたい3つのスキル
ここまではデータ分析の仕事の手順をご紹介してきましたが、ここからはデータ分析に必要なスキルを3つご紹介します。
(1)柔軟な論理的思考力
もちろんデータ分析の仕事では、「論理的思考力(ロジカルシンキング)」は、基本中の基本スキルです。
そもそも論理的に考えたり、数字を見ることが得意でない人は、データ分析の仕事をしたいとは思わないはずです。
あえて「柔軟な」と加えたのは、「ロジカルであること、論理的であることが全てではない」ということです。
データ分析で扱うのは、現実のビジネスに関わるデータです。データ分析の先には、企業同士の関係性、クライアントが感じている課題、自社がアピールしたいポイントなど、様々な人や会社が関わってきます。
あくまでデータ分析の目的は、「クライアントのため」であるため、状況に合わせて「柔軟に」論理性をコントロールして発揮できるスキルも大切です。
(2)資料作成能力
データ分析の仕事をするうえでは、クライアントへの報告のため、「エクセル」や「パワーポイント」といった形で資料を作成する必要があります。
>誰が見ても理解しやすいようなレイアウトや色付け、表現を使って資料を作ることも、データ分析の仕事で重要なスキルです。
時や場合によってはクライアント(顧客)の役員などが報告資料を目にする機会もあるため、難しい専門用語を羅列した資料はあまり望ましいとは言えません。
(3)コミュニケーション能力
実はデータ分析の仕事においても、コミュニケーション能力は欠かすことができないスキルです。
なぜなら分析した資料を、クライアントや、社内の担当者が理解できるように、伝える必要があるからです。
クライアントや社内の担当者は、必ずしもデータのスペシャリストではないため、相手も理解できる言葉を使って分かりやすく説明できることも、データ分析者にとって欠かせないスキルです。
3.未経験者がデータ分析者に転職するための2つの方法
未経験者がデータ分析の仕事に就く際は、大きく分けて「プログラミング系」と「マーケティング系」という2つの入口があります。
前者の「プログラミング系」は、メーカーやシステム開発系の業界で募集が多く、具体的には、自社の商品・サービスの改善や、企画を行う上で、データを分析して、サービス・商品の開発に活かすような内容です。
後者の「マーケティング計データ分析」は、広告やコンサル系の業界で募集が多く、具体的には、クライアントの広告結果の分析や、改善提案といった内容です。
(1)プログラミング言語を身につける
データ分析で使う言語は、おもに「R」、「Python」のどちらかである場合が多いです。
以前は「R言語」が主流でしたが、近年では汎用性が高くモジュールの開発スピードも早い「Python」のニーズが高まっています。
プログラミング言語のスキルがあれば、メーカーやシステム開発といった幅広い業種にデータ分析者への転職が可能になります。
ただし、あくまでもプログラミング言語は「必要なデータを収集するための手段」に過ぎないため、プログラミング言語さえ身につければ、分析のプロフェッショナルになれるというわけではありません。
あくまでも入り口としてですが、プログラミング言語を身につけることは、転職の幅を広げることにつながるといえるでしょう。
(2)クライアントのマーケティングを担当し、経験を積む
マーケティングが必要な場面では、データを分析する業務を欠かすことができません。
特に、マーケティング業務を頻繁に行う、コンサルティング会社(特に戦略系)や広告代理店(特に、プランナーやクリエイティブディレクターなど)、そしてもちろんデジタルマーケティングエージェンシー(ネット広告代理店など)では、データ分析者の雇用ニーズが年々高まっています。
コンサルティング会社や、広告代理店・デジタルマーケ会社に入社して(配属にもよりますが)、マーケティング部門に配属できれば、担当するクライアント(顧客)を持ち、多くのマーケティング業務を経験できます。
経験を多く積むことで、データ集計後の分析において、どこにどんな課題があるのか目星がつけやすくなってきます。
先ほど述べた通り、データ自体は単なる素材(数値の集合体)に過ぎず、それをどのように料理(分析)していくかが、料理人であるデータ分析者の腕の見せ所なのです。
4.まとめ
データ分析の仕事についてご説明してきましたが、仕事内容に対して少しでもイメージが湧いてきたでしょうか?
一番お伝えしたかったのは、データ分析の仕事において、プログラミング言語を用いるのは、よほど大量のデータを複雑に用いる場合だけであり、しかも「データを収集する手段」でしかないということです。
データ分析の真髄は、集めたデータを分析して、意味付けしていく部分にあります。この記事を読んで、プログラミング未経験の方が、少しでも、データ分析の仕事に興味をもっていただけたらと思います。