「データサイエンティスト」と聞くと、どのような人を思い浮かべるでしょうか。
・プログラミング言語を駆使してデータを収集するエンジニア
・Web広告の結果を分析し、資料を作成し報告する広告運用担当者
・アンケート結果を分析し、新企画の提案を行うマーケター
・日本のGDPと収入の関係性をデータに基づいて研究するシンクタンクのコンサルタント
定義に基づくと、いずれも「データサイエンティスト」に当てはまります。
実際のところ、100%「データサイエンティスト」の業務を行う人は、ほとんど存在しておらず、大半の人が、何らかのメイン業務を抱えながら、必要に応じてデータ抽出・データ解析・データ考察を行っているのが現状だと思います。
この記事では、そんな「100%データサイエンティスト」でないの人も含めた、データサイエンティストの仕事内容と、将来性についてご紹介していきます。
目次
1.誰もが「データサイエンティスト」になりうる
「データサイエンティスト」というキーワード自体は、かなりメジャーになっていますが、いまだにその定義は、曖昧です。
データサイエンティスト協会によると、「データサイエンティスト」の定義は下記のとおりだということです。(以下、引用)
“「データサイエンティストとは、データサイエンス力、データエンジニアリング力を
ベースにデータから価値を創出し、ビジネス課題に答えを出すプロフェッショナル」“
引用:データサイエンティスト協会、データサイエンティストのミッション、スキルセット、定義、スキルレベルを発表
つまり、上記の定義によると、
「データに基づいて、何らかのビジネス課題を解決する人」は、少なからずデータサイエンティスト的な側面を持ち合わせているということになります。
特に、Web 広告・コンサルといった業界であれば、営業であれ、企画であれデータに基づいた提案・報告でなければ、論理的な主張にならないため、クライアントや社内の理解を得られません。
ですので、「データサイエンティスト」といえども、特殊なスキルをもった一部の人が名乗る職種ではなく、いまや誰もが「データサイエンティスト」になりうる時代になったのだといえます。
今回の記事では、「誰もがデータサイエンティスト」という前提で、
データサイエンティストとしての仕事には、どんな内容があるのかをご説明するような形で進めていきたいと思います。
2.対象×目的別のデータサイエンティストの仕事内容
上記のとおり、誰もが「データサイエンティスト」的な側面を持ち合わせているが故に、その仕事内容は実に多種多様です。
まずは、データサイエンティストの仕事を「誰のためか」「何を行うのか」という2つの軸で、分類します。
(1)自分のためのデータ抽出 + 分析
職種例:Webアナリスト(メディア、金融、広告代理店、EC、Web制作会社など)
自分のためのデータ抽出 + 分析を行う人は、本業が別にあり、必要に応じてデータを抽出し、分析する人のことを指します。
また、Web広告や、市場調査などのデータは、各種広告管理画面などのツールから取得できるため、データの加工・分析・共有といった業務が中心になります。
そのため、プログラミングスキルを必要としないことが大半ですが、
一方で、収集したデータをいかに活用するのか、その「切り口」や、「見せ方」の部分で、知識や経験の差が出やすいといえます。
(2)他人のためのデータ抽出
職種例:サーバーエンジニアなど
特に大規模のマーケティングを行う企業では、データ抽出だけを行う業務も存在します。
大量なデータ抽出の場合には、SQLを使ってデータベースにアクセスし、情報を収集するという手法が必要になり、そのためにはSQL言語を使用しなければなりません。
このあたりは、サーバーサイドエンジニアのスキルと近い場合が多いため、普段はサーバーエンジニアとして活躍する人が、必要に応じてデータ抽出業務を行うというケースが多いです。
(3)他人のためのデータ抽出 + データ分析
職種例:シンクタンク、コンサルタント
シンクタンクやコンサルティングファームでは、ビッグデータを解析し、経営改善策の提案や、事業立案、社会問題の解決、世界の動向分析といった企業単位、国単位の方向性を導く仕事になります。
特に、シンクタンクは、扱う対象が大きいため、プロジェクトが長期化することが多く、1つの分析対象に対して、5年~10年といった分析を行うこともあり、「研究所」のような側面も持ち合わせています。
特有の業務は、特定の意思決定のためのデータを作る業務もあることです。
結論までは決まっていて、その結論を根拠づけるためのデータを逆に収集・整形するといった仕事も存在するのが、シンクタンク・コンサルティングファームのデータ抽出・データ分析です。
3.対象×目的別のデータサイエンティストの将来性
続いて、上記の分類に沿って、各データサイエンティスト業務の将来性について、私広告運用担当としての見解になりますが、ご紹介します。
(1)自分のためのデータ抽出 + 分析
自分のためのデータ抽出・分析を行う人は、今後もっと増えていくと予想されます。
なぜなら、いままでアナログだったものが、デジタル化される流れがあり、デジタル化されたものは、その改善のために、データの抽出・分析が不可欠だからです。
例えば、これまで数字と無縁だった、営業や、企画といった職種の人も「データ抽出・分析」を避けられない社会も、そう遠くないと予想されます。
(2)他人のためのデータ抽出
一方で、他人のためのデータ抽出業務は、今後むしろ縮小していくと考えられます。
なぜなら、データを抽出すること自体が、一般化されるためです。
今後、より多くの人がデータ抽出・分析に携わる社会になった場合、サーバー言語を学ばなければ、データ抽出を行えないというのは、効率的でないため、ニーズの高い情報は、より簡単に抽出できる仕組みが作られるはずです。
データエンジニアには、より高度で複雑なデータ抽出が求められるようになると考えられます。
(3)他人のためのデータ抽出 + データ分析
コンサル、シンクタンクに多い、他人のためのデータ抽出・分析まで行う業務は、より高度で複雑なものに変化していくことが予想されます。
デジタル化されるものが増えていくに従って、取得できるデータも増えるため、これまで組み合わせて分析できなかったデータも分析対象になる可能性があります。
4.データサイエンティストを目指す方へ
(1)学生の方
データサイエンティストになるために、サーバー言語を学んだり、データサイエンティストの本を読んだりすることも、もちろん必要なことですが、
本当に重要なのは「できるだけ早くデータ分析の実務経験を積むこと」だと思います。
そもそも、データ分析は手段であって目的ではありません。
たとえば、「クライアントの売上課題を解決する」「新規事業の提案をする」といった現実問題をデータの力でよりよい決断に導くことが本来の目的です。
Web広告会社や、シンクタンク、コンサルファームのインターンなどで、
テキストでは学べない、「利害関係を持った相手とのコミュニケーション」「キレイに傾向が見えないリアルなデータ」「どちらも正解とは言えない状況での判断」といった経験をすることが、遠回りに見えて実は一番の近道だと思います。
(2)データ分析業務が全くの未経験で転職をお考えの方
上記でお伝えしたとおり、「データサイエンティスト = エンジニア」ではないため、データ分析やサーバー言語が全くの未経験でも、これからのキャリアによっては、データサイエンティストとして、活躍することも、実現可能です。
データサイエンティストの入り口としては、大きく分けて「マーケター系」「エンジニア系」の2パターンの入り口があります。
もしプログラミングを学びたいと強く思う方は、「就職支援付きのプログラミングスクール」に通って転職するのも方法としてはあります。
ただし、正直なところ25歳以上になると、就職支援付きのスクールすら、断られるケースもありますし、卒業後に希望の会社にエンジニアとして入れる可能性は低いです。
また、たとえ入社できたとしても、キャリアの面で大きく遅れを取ることになります。
そのため、おすすめは「マーケター系」からの入り口です。
いま勤務されている会社で、マーケティング業務に関われる部署があるなら、異動希望をするのもありですし、Web系の事業会社もしくは、Web広告系の企業に転職するという選択肢もあります。
Web系の事業会社やWeb広告系の企業について、相談されたい方は、「転職エージェント」に相談されると良いかと思います。
特に、弊社運営の転職エージェントでしたら、無料で広告代理店出身のキャリアアドバイザーに相談できます。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。
いま、何らかの形でデータに関わり、分析する人は増える一方で、この流れは今後も大きくは変わらないかと思います。
この記事を読んでいる方は、データサイエンティストの仕事に興味がある方だと思いますが、学生の方でも社会人の方でも、大切なのは「いますぐ動くこと」です。
残念ながら、年齢を重ねるほど、将来データサイエンティストとして活躍できる可能性は、低くなってしまいます。できるだけ早く行動して、理想を実現しましょう。