広告代理店における雑誌 – 種類やメディア特性、仕事内容、料金

私たちが目にする雑誌に載っている広告も広告代理店の仕事の一つです。では具体的には広告代理店の雑誌担当者はどんな仕事なのでしょうか?

結論から言うと、代理店の雑誌担当の仕事は、クライアントの広告要件に沿って、適切な雑誌と広告枠を選択することです。
※広告代理店によっては雑誌と新聞と雑誌を合わせて「新雑担当」としている会社も多くあります。

ここでは広告代理店における媒体としての「雑誌」の特性、雑誌の種類、そして雑誌の広告枠なども含めて、雑誌担当の仕事内容について詳しく解説していきます。

1.そもそも広告代理店における媒体(メディア)とは?


広告代理店といえばTVコマーシャルなどを手掛け非常に華やかなイメージがある一方で、(主に営業の仕事を指して)「激務」、「きつい仕事」というイメージが強い方も多くいるかと思います。

ただし当然ですが、広告代理店の仕事は営業だけではありません。広告代理店の大きな役割は、①広告内容の制作、②広告の伝達ということです。そして広告を伝達する重要な手段として媒体(メディア)への掲載があります。

メディアには、「マスメディア(4マス)」と言われる雑誌、テレビ、新聞、ラジオに加えて、OOH(交通・屋外広告)や近年急拡大しているインターネット広告などがあります。今回は広告代理店における「雑誌」というメディアに焦点を当て、雑誌の特徴などを含めて仕事内容を解説していきます。

通常版

2.代理店にとって「雑誌」ってどんなメディア?


雑誌は未だに4大マスメディア(4マス)の一つとして影響力のある広告媒体の一つですが、実際の雑誌広告はどのような種類や料金なのでしょうか?その疑問に答えるためにも、そもそも媒体としての「雑誌」の特性なども含めて詳しく解説していきましょう。

(1)メディアとしての雑誌の特徴

雑誌の特性・特徴は、下記のようなものがあります。
・雑誌ごとに読者層が分かれている(ターゲティングしやすい)
・様々な印刷効果を発揮しイメージ醸成に優れている(高級印刷・多色印刷など)
・新聞などに比べて柔軟で細かい広告展開が可能
・全国展開のため、地方を特定した広告展開には不向き

以上のような特徴から、ファッション、消費材などの商品広告に特に適した広告媒体であると言えます。

(2)雑誌の種類


先ほど雑誌の特徴でも言いましたが、雑誌は記事内容が多種多様で、そのぶん雑誌ごとに差別化が進んでいるため、雑誌毎に読者層がかなり特定化されています。例えば同じ「女性週刊誌」という種類の中でも、雑誌によっては読者層がかなり異なることが予想されますので、商品・サービスがターゲットとする消費者によっては細かく雑誌を選定する必要があります。

具体的に説明すると、雑誌はいくつものジャンル、カテゴリに分けられます。ファッション誌、女性週刊誌、マンガ雑誌、ゴルフ雑誌、サッカー雑誌、歴史雑誌、車雑誌、アニメ雑誌、カメラ雑誌、、、といった風に思い浮かぶだけでもいくつもの雑誌のカテゴリがあり、これらを購入・購読する人は必ずといって良いほど、掲載されている内容に興味を持っている人です。そのためファッション誌にはアパレルメーカーや服の小売り店の広告、ゴルフ雑誌にはゴルフ道具の広告、車雑誌には車の広告のようにカテゴリに合った広告を掲載できるのです。

さらに雑誌ごとに記事内容、発行部数、代表的な読者層、広告掲載料金などを一覧データにまとめた「月間メディア・データ」などの資料が発行されているので、広告代理店の雑誌担当はこういった資料をもとに広告を掲載する雑誌を選定します。

ちなみに「東京ウォーカー」など地域ごとに紙面・内容が異なる雑誌を除いて、雑誌は一般的に日本全国同じ版で配布されます。ただし発行部数の多い一部の雑誌では関東版・関西版とエリアによって版を変える場合もあります。その理由は、地域別訴求の難しい雑誌広告の欠点を補い、エリアによって紙面と広告を若干変更するためです。

ジャンル雑誌名媒体社名刊行発行部数
総合週刊誌週刊文春文藝春秋週刊655290
週刊ポスト小学館週刊397000
FRIDAY講談社週刊255417
週刊SPA!扶桑社週刊111550
総合誌文藝春秋文藝春秋月刊443042
Wedgeウェッジ月刊123860
ビジネスPRESIDENTプレジデント社月2回301525
東洋経済東洋経済週刊94449
コミック週刊ヤングジャンプ集英社週刊557143
週刊ヤングマガジン講談社週刊415592
少年コミック週刊少年ジャンプ集英社週刊2220000
週刊少年マガジン講談社週刊1032587
女性週刊誌女性自身光文社週刊366671
週刊女性主婦と生活社週刊215224
女性ライフデザインMORE集英社月刊252500
with講談社月刊190583
CanCam小学館月刊121958
CLASSY.光文社月刊287700
クロワッサンマガジンハウス月刊208688
女性ライフカルチャーオレンジページオレンジページ月刊325758
ESSE扶桑社月刊368958
サンキュ!ベネッセ月刊331808

(3)雑誌のサーキュレーション


聞きなれない言葉かもしれませんが「サーキュレーション」とは媒体(メディア)が消費者に接触(アプローチ)できる見込み人数を意味し、雑誌という媒体におけるサーキュレーションは新聞と同様に発行部数から図られます。つまりサーキュレーションが大きいほど、その雑誌が持つ影響力も大きいと考えられるのです。

では発行部数=サーキュレーションが大きいほど必ず媒体として良いのでしょうか?もちろんそうではありません。
先ほど述べた通り、雑誌は読者層がかなり細分化、特定化されている媒体です。つまり広告したい商品・サービスのターゲット層と、雑誌の読者層が異なると、いくらサーキュレーションが大きくてもあまり効果的とは言えなくなってしまいます。そのため広告代理店としては対象とするターゲット層に向けて広告を有効に伝達する為に、どの雑誌に広告を掲載するべきかという判断もしなければなりません。

(4)雑誌広告の種類


雑誌広告には「特殊スペース」と「記事中スペース」という2種類の掲載面があり、それぞれに掲載位置が異なります。「特殊スペース」は表紙周辺、目次周辺に掲載される広告で、必然的に注目度が高いです。「記事中スペース」は特殊スペース以外の掲載面を指しますが、例えば見開き2頁のように記事が全くないページでも「記事中スペース」と言われます。ちなみに「記事中スペース」は、スペースの大きさと色によって表現されます。例えば「4色1頁(4C1P)」であればカラーの1頁分広告、「1色タテ1/3頁」であればモノクロの1/3ページ分広告という意味になります。

さらには、「純広告」と「記事広告」という種類もあり、純広告は広告主が制作する広告で、「記事広告」は出版社編集部の手動で、広告主の要望を取り入れたうえで記事形式で広告を行う形式です。純広告は広告主の希望によりある程度の自由が利く広告ですが、その分広告っぽさが出てしまうという特徴があります。また記事広告は広告主の意向が制限されますが、記事のような体裁をとるので読者に対して自然な形で広告を見せることが可能となります。

①掲載面による分類
特殊スペース表1表紙のこと
表2表紙の裏ページ、表4に次いで料金が高い
表3裏表紙の前のページ
表4裏表紙 注目度が最も高いと思われるため、料金も一番高い
目次対向面目次の向かい側ページ
センター見開き中綴じ雑誌の真ん中ページ
とじ込みはがき雑誌にとじ込まれたハガキ
記事中スペーススペースの大きさによって見開き2頁、1頁、横1/2頁、縦1/2頁、横1/3頁、横1/4頁など多彩な大きさがある。
②色による分類
4色カラーカラーページ(4Cカラー)
1色カラー白黒ページ(モノクロ)
③印刷方法による分類
オフセット平版印刷の一種。版面からゴムブランケットと呼ばれるゴム布に転写し、それを紙面に印刷する。
グラビア凹版印刷の一種。銅板に焼き付けた版の凹部にインクをためて刷る。
活版凸版印刷の一種で、活字を主に使用する。
④展開方法による分類
純広告クライアント(広告主)側が制作する広告
記事広告出版社編集部主導でクライアントの要望を聞き入れたうえで記事形式の広告を制作する

(5)雑誌広告の料金


雑誌広告の料金は、必ずしも雑誌の発行部数には比例しません。例えば発行部数223万部(2016年1-3月日本雑誌協会調べ)の集英社「週刊少年ジャンプ」の表四1頁広告が約300万だったのに対して、発行部数約18万部(2016年7-9月日本雑誌協会)の講談社「with」の表四1頁広告も約300万でした。一見すると、「週刊少年ジャンプ」は「with」の約10倍もの発行部数ですので、さぞかし広告料金も高いと考えてしまいがちです。

このような料金設定の理由は、主な読者層が原因となっています。「週刊少年ジャンプ」の主な読者層が子供や若年層であるのに対して、「with」の主な読者層は20代の働く女性たちです。つまり購買力の高い20代社会人女性を読者に持つ「with」には高額な化粧品などの広告が出稿できるのに対して、「ジャンプ」に出稿できる商品は若年層が買えるものに限定されてしまう傾向にあります。これが広告料金の差を生む原因です。

このほかにも、掲載面を指定する際には追加料金が発生する場合があります。例えば「たまごクラブ」の場合、4色見開きは約100万ですが、目次裏4色見開きは約150万でした(2010年当時推定)。また編集タイアップの場合は、別途製作費も必要となります。たとえば「saita」では1頁あたりのスペース料金+制作費として20~30万程度が発生していました。

また、新聞と同様に一定期間の出稿量に応じて一定の割引率が設けられている雑誌も存在します。たとえば「saita」では年12頁の出稿で5%、年24頁の出稿で10%の広告料金の割引が設定されていました。

※媒体料金参考「月間メディア・データ」

大手版

3.雑誌担当の仕事


ではここから広告代理店における媒体部の雑誌担当が行う仕事内容について具体的に解説します。代理店の雑誌担当に配属された場合、下記のような手順で雑誌広告を掲載していきます。

(1)雑誌への掲載申込み


雑誌に広告を出稿したいと考えた場合、新聞と同様で、代理店の雑誌担当はできるだけ余裕をもって雑誌編集部担当に連絡し、掲載面の確認をします。掲載面の確認とは、もちろん広告出稿したい面(スペース)に空きがあるかどうかという事です。

雑誌広告の掲載申し込みは、月刊誌で発売日の60日前まで、週刊誌で発売日の50日前が一般的です。ただし、一部の人気雑誌や人気掲載面は常に満稿状態が続いている可能性があるため、かなり早くから申し込みをする必要があります。

(2)雑誌への入稿


広告代理店の雑誌担当が次に行うことは、完全版下(ただしに製版にかかれる状態の広告原稿)で、一般的にはカラー原稿では月刊誌で発売日45日前、モノクロ原稿では発売日30日前までに入稿しなければなりません。その為にも、クライアントや制作部の確認が済んだクリエイティブを速やかに入稿できるように、営業にも随時確認していく必要があるでしょう。

テキスト版

4.雑誌広告の将来


雑誌というメディアは、これまで印刷された紙面による「リッチな表現力・訴求力」という特徴を活かし、化粧品、ファッション、ラグジュアリーな商品への広告の中心に4大マスの一角としての役割を果たしてきました。
もちろん高級印刷、特殊印刷が施された大きな紙面によるリッチな訴求力は、その価値自体が今後も色褪せることはありませんが、インターネットの登場によって雑誌が本来持ってきた読者層ごとのきめ細かいクラス・メディアとしての役割は脅かされつつあります。

現在では、これまで培われてきた特定化・階層化されたセグメント向けクラス・メディアとして、紙面だけでなくインターネット上での展開もかなり積極化してきています。今後は紙面というデバイスにとどまらず、電子書籍やウェブメディアとしての訴求力と展開力も求められていきますので、ネット上での展開に活路を見出していくものと思われます。

5.まとめ

いかがだったでしょうか?
広告代理店における雑誌という媒体は、広告を出稿する際にはターゲットとなる消費者ごとに選定することができ、殊に化粧品・ファッション・嗜好品などの商品での広告展開で大きな訴求力を発揮できるという特徴がありました。代理店の雑誌担当者は、この雑誌というメディアの特徴をよく理解したうえで、クライアントが求める広告要件に沿って、雑誌の種類や広告枠を適切に選択し、営業とともに掲載の提案をしていく必要があります。

※記事参考:新屋哲博・松岡富士夫監修「新版広告ビジネスの基礎講座」

6.【まとめ】雑誌媒体・雑誌広告の特徴

雑誌媒体特徴・日本全国に配布されており、全国広告に適している
・特定地域向けの広告には向いていない
・通常、読者は都市圏に集中しており、都市に特定した広告に適している
・読者層が明確であるため、広告対象者を限定し、集中的に出稿することができる
・特集記事の内容により、販売部数が増減することがある
接触状況・活字媒体であるため保存性や記録性は高く、メッセージ生命は長い
・複数の読者に回覧されることがあるため、波及効果が高い
・繰り返し閲覧されることがあるため、広告の反復性は高い
・ページ数が多いため、広告が読み飛ばされる危険性がある
・広告への接触が能動的、意識的である
出稿条件・編集タイアップによる記事広告の出稿、広告とイベントとの連携など、クライアント(広告主)のニーズに応じて柔軟な広告展開が可能
・比較的低コストで全国的な広告展開ができる
・掲載申し込みや入稿、雑誌発売とのリードタイムが長いため、タイムリーな広告展開には不向き
広告目的・性別、年齢、職業、収入、趣味、興味関心、行動、生活様式などに対応した広告訴求が可能
・ターゲットを絞り込んだ広告展開に特に適している
・理解、好意、イメージを醸成することに適している
広告効果・色彩や写真を活かしたインパクトの強い広告を展開することができる
・新聞などと比べて高級印刷や多色印刷が可能なため、印刷効果が高い
・詳細な情報を大量に伝達できるため、商品やサービスの内容を理解させることが可能
・雑誌の持つイメージが広告に影響を与える
・読者が望む情報と広告が提供する情報とが一致しやすく、購入・行動等に結びやすい
・正確な販売部数が把握しづらく、広告効果の測定が難しい
                     

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私は有名な大手2社ではありませんが、国内上位5社に入る広告代理店で営業(アカウントエグゼクティブ)として3年前まで働いていました。その経験から、あまり世の中では語られていない広告代理店の具体的な仕事内容や実際の過酷さについて正直な記事を書いていきます。