広告代理店における新聞 – 種類、メディア特性、仕事内容など

私たちが目にする新聞に載っている広告も広告代理店の仕事の一つです。では具体的には広告代理店の新聞担当者はどんな仕事なのでしょうか?

結論から言うと、代理店の新聞担当の仕事は、クライアントの広告要件に沿って、適切な新聞と広告枠を選択することです。ここでは広告代理店における媒体としての「新聞」の特徴、新聞の種類、そして新聞の広告枠なども含めて、新聞担当の仕事内容について詳しく解説していきます。

1.そもそも広告代理店における媒体(メディア)とは?

広告代理店といえばTVコマーシャルなどを手掛け非常に華やかなイメージがある一方で、(主に営業の仕事を指して)「激務」、「きつい仕事」というイメージが強い方も多くいるかと思います。

当たり前のことですが、広告代理店の仕事は営業だけではありません。広告代理店の大きな役割は、①広告内容の制作、②広告の伝達ということです。そして広告を伝達する重要な手段として媒体(メディア)への掲載があります。

メディアには、「マスメディア(4マス)」と言われる新聞、テレビ、雑誌、ラジオに加えて、OOH(交通・屋外広告)や最近急拡大しているインターネット広告などがあります。今回は広告代理店における「新聞」というメディアに焦点を当て、新聞の特徴などを含めて仕事内容を解説していきます。

2.代理店にとって「新聞」ってどんなメディア?

新聞は未だに4大マスメディアの一角として影響力のある広告媒体の一つですが、実際の新聞広告はどのような種類や料金なのでしょうか?その疑問に答えるためにも、そもそも媒体としての「新聞」を詳しく紐解いていきましょう。

(1)メディアとしての新聞の特徴

広告代理店への就職・転職を望む方であれば皆さん読んでいるかと思いますが、新聞は毎日定期的に家に届けられる媒体(メディア)です。全国紙だけでも1日の発行部数は約2000万部を超えていますし、家への宅配率も90%を超えています。つまり日本全国に対して広く告知したい広告の際に有効なメディアと言えます。

また新聞は毎日届けられるので、企業の謝罪やお詫び、訃報などの緊急告知のときにも使われるメディアです。そして会社や事務所などで購読されているケースも多く、その際には大勢の社員に回覧されるため、BtoB(企業向けサービス)の広告にも適していると言えるでしょう。

さらに新聞というメディアの大きな特長の一つとして、一定以上の学歴を有した人が閲覧する可能性が高く、読者の信頼性が高い傾向があるということです。つまり広告を出稿するクライアント側にとってみれば、襟を正した真面目なメッセージを発信するのに適した媒体だと言えるのです。

ただし以上のような特長の他にも、購読者に成人以上の年齢が多く、若年層や子供に対して広告するにはあまり適していないメディアでもあります。

以上のように、広告代理店の媒体部における新聞担当は、クライアントが広告に求めるニーズに合わせて「新聞」というメディアの特徴を最大限に発揮できるよう調整していくことが求められます。

※一般社団法人日本新聞協会「新聞の戸別宅配率」2016年度データ

(2)新聞の種別

実は新聞には種類があることをご存じでしょうか?全国紙は「中央5紙」とも呼ばれ、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、日本経済新聞の5つとなっています。ただし、これら全国紙でも日本全国全く同じ紙面ではありません。例えば読売新聞であれば、東京本社、大阪本社、西部本社、北海道支社、北陸支社、中部支社という6エリアでそれぞれ発行されており、各エリアによって紙面構成も異なります。

具体的には、新聞紙面は全国共通の記事部分である「全国版」、エリア(地域)に密着した記事からなる各本支社版の2つから構成されています。そして更には各県単位の地方版も加わります。つまり全国紙と言っても、掲載する紙面によっては読者に届く広告もあれば、届かない広告も出てきますので、広告代理店はこの点を考慮した上でどの部分に広告を掲載するべきかを考えなければなりません。

分類基準名称特徴主な紙名
配布エリア全国紙(中央紙)配布エリアはほぼ全国読売、朝日、毎日、産経、日経
地方紙(ブロック紙)配布エリアは数県中日、北海道、西日本
地方紙(県紙)配布エリアは本社のある都道府県河北新報、山形、福島民報
紙面内容一般紙不特定多数の読者を対象に、国内外の出来事を広く報道全国紙、地方紙はいずれも一般紙に該当
スポーツ紙スポーツ記事や芸能、エンタメなどの記事を掲載日刊スポーツ、放置、スポニチなど
英字紙英語による新聞Japan Times、DAILY YOMIURIなど
専門誌・業界紙特定の専門分野、業界の記事を掲載日経産業、流通サービス、日刊工業など
機関誌政党、団体、機関などが編集・発行する新聞聖教新聞、赤旗など
フリーペーパー特定の配布エリア、特定読者向け無料生活情報誌サンケイリビングなど
刊行形態セット版同一題号の朝刊・夕刊を発行全国紙の場合は発行本社に近い地域でセット版が発行され、遠隔地では統合版が発行される
統合版朝刊の記事と夕刊の記事を統合し、朝刊だけを発行
朝刊単独紙朝刊のみ発行専門誌・業界紙・スポーツ紙・英字紙など
夕刊単独紙夕刊のみ発行夕刊フジ、東京スポーツなど
ノンデイリー紙火木土のみ、週1回など毎日は発行されない日経MJ、流通サービスなど
サイズブランケット版天地53.4cm×左右38.5cm。広告は全15段一般紙をはじめ大半の新聞
タブロイド紙天地39cm×左右25cm。広告は全11段夕刊フジ、日刊ゲンダイなど

(3)新聞のサーキュレーション

聞きなれない言葉かもしれませんが「サーキュレーション」とは媒体(メディア)が消費者に接触(アプローチ)できる見込み人数を意味し、新聞という媒体においては発行部数を指します。つまりサーキュレーションが大きいほど、その新聞が持つ影響力も大きいと考えられます。

では発行部数=サーキュレーションが大きいほど必ず媒体として良いのでしょうか?もちろんそうではありません。
例えば愛知県では中日新聞というブロック紙、宮城県では河北新報といった県紙がその地域においての最大普及率を占めているケースもあります。そのため広告代理店としては特定のエリアに向けて広告を有効に伝達する為に、場合によってブロック紙や県紙に広告を掲載する判断もしなければなりません。

(4)新聞広告の種類

新聞広告には「記事下広告」と「雑報広告」という2種類があり、それぞれに掲載位置が異なります。「記事下広告」は基本的に記事面の下に、「雑報広告」は記事面の特定位置の定型広告スペースに掲載されます。

①記事下広告

まず記事下広告の面積の大きさを示す単位は「段」と呼ばれます。新聞紙面をタテに15分割した1コマを1段として定義されています。
記事下広告は1段、5段、7段、10段、15段(全面)という面積の大きさが選択可能です。例えば横幅が全ページ、段数が5段の広告スペースは「全5段」と呼ばれます。そして全5段広告を左右に2分割すると「半5段」となります。また企業が新商品・新サービスをリリースした時などに用いるのが、新聞中央見開き面の両全面広告は「30段」と呼ばれます。

以上のように一般的に15段(新聞1面相当)や30段(新聞両面相当)は企業の新商品・新サービスのリリースや大々的キャンペーンの際に使われますし、低段広告は新商品発売後のフォロー時期広告や販売店の広告など継続的な訴求が必要な際に使われます。

②雑報広告

雑報広告とは、記事面中のサイズが決められた広告スペースのことです。雑報広告には、題字下、記事中、突き出し、差し込みなどの種類があり、企業名や商品名を読者に想起してもらうための広告や、コラムのような広告を展開する場合もあります。

(5)新聞広告の料金

新聞の広告掲載料金は、広告の種類、配布エリア、出稿期間、出稿量によって決定されます。料金は継続的かつ大量に出稿するほど割安になっていくことが一般的です。

①記事下広告の料金

記事下広告は、「契約内容」、「朝刊・夕刊の区別」、「配布エリアの区別」、「段数」といった要素によって料金が設定されます。たとえば読売新聞朝刊全国版に、3か月以内に全5段を6回出稿する契約もの広告の場合、その料金は契約段数30段以上の段単価約248万円×30段=約7,440万円となる訳です。

上記は継続的に出稿される場合の料金が適用されていますが、もし臨時で出稿する場合となった場合には段単価は割高になります。

②雑報広告

雑報広告の料金も記事下広告と同じように、「契約内容」、「朝夕刊の区別」、「配布エリアの区別」といった条件によって料金が異なります。

3.新聞担当の仕事

ではここから広告代理店における媒体部の新聞担当が行う仕事内容について具体的に解説します。代理店の新聞担当に配属された場合、下記のような手順で新聞広告を掲載していきます。

(1)枠取り

新聞というメディアに広告を出稿したいと考えた場合、代理店の新聞担当はできるだけ余裕をもって新聞社に連絡し、掲載枠の確認をします。掲載枠の確認とは、もちろん広告出稿したい面(スペース)に空きがあるかどうかという事です。

ただし常に余裕を持って事前に連絡できるとは限らず、場合によってはクライアントから臨時で謝罪広告や訃報の告知依頼があるかもしれません。新聞社でもこのような特例に備えて臨時モノの広告を枠を用意しており、これらは最悪前日の申し込み掲載でも可能な場合もあります。

(2)送稿

広告代理店の新聞担当が次に行うことは、制作された広告原稿を新聞社に送ることです。この際、求められる原稿形態や部数は各新聞社によって異なっています。一般的にはフィルム(原稿を製版用ネガに焼いたもの)、紙焼(原稿を広告スペースと同寸大に印画紙にプリントしたもの)、ゲラ(原稿をゲラ紙に凸版で印刷したもの)を搬入します。

(3)掲載、掲載確認

最後に掲載日の実際の新聞を見て、掲載されたかどうか確認し、必要であればそのコピー等を営業に渡します。

4.新聞広告の取り扱い

新聞に広告を出稿したいと考えた場合、どの代理店に依頼するのが適切なのでしょうか?代理店によって違いはあるのでしょうか?

結論としては、どの代理店であっても新聞広告を出稿する内容や料金に大きな違いはありません。もちろん、朝日広告社や読売広告社、日本経済社など新聞社系の広告代理店であれば、新聞広告の活用例などの専門知識も豊富であるかもしれません。しかし、それは大手広告代理店の新聞担当であっても大きく変わりありません。

さらに現在のクライアントが抱えるコミュニケーション課題およびプロモーション方針において、新聞のみに出稿する場合は極めて稀なケースです。様々なメディアとのタッチポイント上に新聞という一媒体が存在していることを考えれば、新聞広告だから新聞社系の代理店に出すという理由はありません。

5.新聞広告の将来

新聞というメディアは、「説明性」という大きな特徴を活かし、これまで世の中に日々情報を提供してきました。情報の信頼性やサーキュレーションという点では未だに媒体としての価値が大きなものであることを示していますが、インターネットの登場によって「説明性」、「即時性」という特徴は代替されるようになってしまいました。

もちろん新聞社も手をこまねている訳ではなく、新聞というメディアがこれからも消費者にとって価値のある媒体であり続けるために様々な試みを行っています。

その一つはネットやアプリで新聞を配信するという形態で、日本経済新聞が行っている「日経電子版」は特にビジネスマンを中心に好評を集めています。というのもビジネスマンたちにとっては紙というデバイスは持ち運びの面でも、情報伝達面でも不利な場合が多く、スマートフォン等で表示させる形に変えることによってよりスムーズに情報を得られるというメリットが大きかったのです。

このように新聞というメディアも様々に形態を変えつつも、生き残りをかけて挑戦している媒体です。

6.まとめ

いかがだったでしょうか?
広告代理店における新聞という媒体は、広告を出稿する際には全国の幅広い読者層にアプローチでき、一定の有識者にも訴求可能である特徴があります。代理店の新聞担当者は、この新聞というメディアの特徴をよく理解したうえで、クライアントが求める広告要件に沿って、新聞の種類や広告枠を適切に選択し、営業とともに掲載の提案をしていく必要があります。

※記事参考:新屋哲博・松岡富士夫監修「新版広告ビジネスの基礎講座」

7.【まとめ】新聞媒体・新聞広告の特徴

新聞媒体特徴・発行部数が多く、広い地域、広い読者階層に普及している
・定期購読者が多く、読者層が安定している
・新聞配達により、確実に読者世帯に到達できる
・新聞の精読者には、オピニオンリーダーが多い傾向がある
・配布エリアが明確で、全国的な広告展開にも、特定エリア向けの広告展開にも対応可能
・特定層の読者のみを広告対象とする場合には、効率的なメディアではない
・子供を対象とする広告にはあまり適していない
接触状況・閲覧時間は短いが、確実に閲覧されることが多いため広告接触可能性が高い
・翌日には新聞を読まなくなる事が多いため、雑誌に比べて広告の反復性は低い
・能動的、意識的に広告に接触する
出稿条件・広告スペース、掲載日、掲載面などについて、広告主のニーズに積極的に対応する
広告目的・商品やサービスの発売、イベント告知に適している
・企業、商品、サービスの内容を理解させることに向いている
・全国的な広告にも、エリア密着の広告にも対応できる
広告効果・新聞への新リアが、広告への信頼につながる(威光効果)
・詳細な情報を伝達できるため、商品やサービス内容を理解させることが比較的容易
・生活知識や商品知識の普及など教育的効果や教養的効果も比較的高い
・基本的には高級印刷や多色印刷ができないため、印刷効果は高くない
・活字メディアのため、保存性や記録性は高い
・広告効果が広告スペースや同一紙面のほかの広告の影響を受けやすい

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広告マン

私は有名な大手2社ではありませんが、国内上位5社に入る広告代理店で営業(アカウントエグゼクティブ)として3年前まで働いていました。その経験から、あまり世の中では語られていない広告代理店の具体的な仕事内容や実際の過酷さについて正直な記事を書いていきます。