どの企業のインターンの面接でも自己PRを聞かれるけど、自信を持って答えられないという方は多いのではないでしょうか。
「自己PRがうまく言えない…」
「学生時代に頑張ったことと自己PRで同じことを答えてしまった。」
と難しいですよね。
内定者に共通する自己PRの回答には「幼少期からの経験で得られた価値観・強み」が述べられています。また、面接官はこの質問で就活生の価値観や強みを見ています。そしてこの求められる能力は企業や業種によって異なります。
広告代理店の人事担当だった私の経験から言うと、就活生の答えた自己PRの回答を中心に面接を進めます。せっかく志望動機などが答えられていても、自己PRの回答に矛盾があったり不十分だったために、その人がどのような人か不明瞭で評価されなかった学生を何人も見てきました。
この記事を読めば、確実に回答のコツを抑えられます。これを読んで合否を左右する自己PRに関する質問が来た時に自信を持って答えられるようにしましょう。
1.就活本選考とインターン選考に大きな違いはない!
インターン選考の面接・ESは就活本番と同様で自己分析、志望動機、長所・短所を中心に質問されます。
なぜなら企業におけるインターンの位置づけはあくまでも「採用候補者と出会うための場」であり、本選考で採用する学生を一人でも多くインターンから獲得したいと考えているためです。
従ってインターン選考の対策は、ES、質問対策、マナー対策を含めて、採用本選考と同レベルの準備を行う意気込みで臨みましょう。
2.自己PRで面接官が求めている回答とは?
インターン面接においても間違えやすいのが、「自己PRを聞かせてください」と「学生時代に頑張ったことは何ですか?」という2つの質問です。
これらの質問は、似ているので混同してしまいがちですが、採用担当者の質問の意図としては、明確な違いがあります。
それは「学生時代頑張ったこと」の質問が「大学時代のエピソード」を求めているのに対して、自己PRは「幼少期からの経験で得られた価値観・強み」を回答として求めているということです。
つまり面接官は、自己PRの質問を通して就活生の「価値観・強み」を知ろうとしているのです。
したがって自己PRでは、これまで約20年間生きてきた中で得られた経験にもとづいて、自分の価値観を簡潔に表現することが求められています。
3.業界別 評価される自己PRポイント
業界によってアピールすると評価が高いポイントは異なります。どんな人材が求められるのかを意識して自分の自己PRを考えましょう。
(1)メガベンチャーで求められる自己PR
メガベンチャー企業の定義は様々ですが、ここでは「創業後、短期間で従業員1,000人規模に成長し、上場を果たした企業」と定義します。例えば、サイバーエージェントやDeNAなどの会社です。
メガベンチャー企業のインターンでは、「業務体験型プログラム」に取り組み、学生同士でディスカッションを行ったり、発表を行います。
従って、メガベンチャーのインターンでは、「同世代のチームワーク」「ディスカッション能力」「提案力」などをアピールできる自己PRが望ましいです。
私の強みは、チームを牽引できることです。私は、ベンチャー企業で長期インターンをしていました。そこでは、インターン生でグループワークになり、新事業を立ちあげコンペを行いました。私のグループは大学生の暮らしに役立つアプリを制作しました。なかなか案が浮かばず、各自が今不便だと感じていることをディスカッションする方向性に話を進めました。私は、○○な点を提案しました。私が提案したアイディアを中心に制作が始まり、完成した作品が社内で一番のインストール率を誇り、優勝しました。
(2)成長中ベンチャーで求められる自己PR
「成長中ベンチャー企業」とは、メガベンチャー企業ほど大規模ではないものの、現在成長中のベンチャー企業です。例えば、会計ソフトのFreeeや、Wantedlyなどの会社が挙げられます。
成長中ベンチャー企業のインターンでは、「社員と一緒になって実務に取り組む」ことになるため、社員とコミュニケーションを取ったり、時には一人で地道に仕事に取り組むことが必要になります。
従って、成長中ベンチャーのインターン選考では、「上下関係を含めたチームワーク」「成長意欲(向上心)」などをアピールできると良いでしょう。
私の強みは負けん気の強さと向上心が人一倍あるところです。
私は大学時代、ラグビー部に所属していました。私の部は、できて新しかったためにリーグ戦でも一回戦敗退などと弱小チームと呼ばれていました。それが悔しかった私は、負けることが当たり前という選手の固定観念を壊すことが大切だと思い、練習メニューに他校との交流試合を増やすことを提案しました。試合慣れして、少しずつ勝利する経験を通し、私たちの士気は高まり、ついにリーグ戦昇格を果たしました。
(3)スタートアップで求められる自己PR
スタートアップ企業とは、創業から間もなく、まだ名も知られていないような数名規模の会社です。
スタートアップ企業のインターンでは、「実際の社員として実務に取り組む」ことになるため、実際のクライアントとのやり取りや、日々の仕事に取り組みます。
従って、スタートアップ企業のインターンでは、「継続力」「熱意」「コミット力(完遂力)」をアピールできることが望ましいです。
私の強みは粘り強さです。私は大学に入学当初、TOEICの点数は500点でした。授業のクラス分けでは一番下のクラスでとても悔しい思いをしました。そこで、国際寮に入寮し、徹底的に英語力を上げることに注力しました。初めは、コミュニケーションをとることもできませんでしたが、めげずに積極的に海外留学生に話しかけ、通学時間は英単語を聞くなど英語漬けの日々を送りました。この結果大学3年次に受けたTOEICでは900点を取ることができました。今では苦手だった英語もネイティブの方と普通に話せるほどに上達しました。
(4)広告代理店で求められる自己PR
広告代理店の自己PRと聞くと、とがった企画力や、人を惹きつける表現・コピーが求められるのではないか?と考えてしまいがちですが、必ずしもそうとは限りません。
代理店の仕事は、クライアントの商品・サービスを、目的となるコミュニケーションニーズに沿って、ターゲットに響く表現を、適切なメディアで伝えることです。
それを就活やインターンに置き換えると、学生に求められる能力は、他の人とは違う自分だけの経験を、相手に伝わりやすい自分の言葉で、的確に表現できる能力です。つまり「自己プロデュース力」です。
代理店のインターン選考で大切なのは、「自分の言葉で伝えようとしていること」です。広告代理店の仕事は、「ことばを使って人を動かすこと」であり、既存のありふれた言葉ではすぐに見透かされてしまいます。
従って、広告代理店の自己PRでは、文章の綺麗さやまとまりではなく、自分の経験に沿った自分ならではの表現で伝えることが大切です。
◆自己PR例
私は体当たりバックパッカーです。とにかく思いついたことを実行に移さなければ気が済まない性格で、大学2年の頃、思い立って一ヶ月一人で東南アジアをバックパック旅行しました。海外旅行に行ったこともなければ、現地の言葉も全くわからないという有様でしたが、道中、現地の民家に宿泊させてもらうなど持ち前の行動力で乗り切り、貴重な体験もしました。
(5)商社での自己PR
商社は日本国内だけでなく南米や中東、アジア、アフリカに至るまで世界各国で、様々な会社との契約、交渉が必要になります。
また、取引先の商品を他の会社に卸したり、販売する業務を行うため、契約先企業との信頼関係を築き、粘り強く交渉していく力も必要になります。
従って、商社の自己PRでは「コミュニケーション能力」、そして異文化や厳しい環境でも貪欲に仕事を前に進めていく「タフネスの高さ」をアピールすると良いでしょう。
◆自己PR例
私の強みはコミュニケーション能力です。親の仕事の都合上海外転勤が多く、アメリカ、カナダ、中国に住んでいました。中学生までは英語圏に住んでいたため、英語は話せたのですが、高校生の時に引っ越した中国は、英語ではなく中国語だったため、新たな言語に直面し、初めはコミュニケーションをとることが困難でした。独学で中国語を学ぶことに加え、学校では積極的にクラスメイトに話しかけたことで、中国語も話せるようになりました。このように、幼少期から様々な国で暮らした経験から、異なるバックグラウンドを持つ人々とコミュニケーションをとる力をつちかいました。
(6)外資系企業での自己PR
外資系企業は日本の企業と労働環境が異なります。したがって、外資企業ということを意識して、日本企業でいう強みとは違うところをアピールしましょう。
例えば、日本の企業が「人間関係重視」と言われるのに対して、外資系では効率的に仕事を進めていくためにも、論理的思考や論理性を非常に重視しています。データや数値を重視し、科学的に運営することを好みます。
また、積極的に主張することを嫌がる控えめな日本人では外資系企業では仕事にならないため、自発的で積極的な人間の採用を好むことも事実です。
自己PRで「語彙力」を出す学生は多いですが、そもそも外資系を志望する学生は英語力が高く、英語力ではほとんど差が出ないので、語学力はできて当たり前という前提で話は進み、それほど強みにはなりません。
従って、外資系企業のインターンでは、「論理性」と「自発性(積極性)」の2つを軸に自己PRを考えると良いでしょう。
◆自己PR例
私の強みは論理的思考ができることです。大学ではディベート部に所属していました。ディベートでは、いかに論理立てて説得力のある議論を展開できるかが求められます。与えられた議題について調査し、集めたデータをまとめる作業を徹底して行い、その積極性を買われて、部長にも選ばれました。気になったことやわからないことは突き詰める大切さを後輩にも指導し、最後の試合では、優勝することができました。
4.インターン選考での自己PR例文6選
ここでは、自己PRとしてよく使われる例文をいくつか紹介します。あくまでも例として参考にした上で、自分の経験に則って表現するようにしましょう。
(1)自分の価値観をアピールする場合の自己PR例文
価値観とはあなたの人生で培われた考え方のことです。
例えば、「正しさよりも、好き嫌いを大切にしてきました。」、「個人より、チームワークを第一に考えてきました。」などを指します。
価値観をアピールする場合は物事の背景が重要になるので、簡潔に話せるように準備が必要です。
自己PR例文①「約束や期日を守る」
◆自己PR例
「私は時間や期日を厳守することを重んじています。自分の最大の成果物を期限内に提出したことによって、教授より高い評価を受けることできました。それだけでなく、約束の時間を守ることができる人間として、周囲から高い信頼を得られました。
この力は、仕事を滞りなく循環させるための要素であり、クライアントの信頼を勝ち取るために欠かせないものを考えています」
自己PR例文②「人によって態度を変えない」
◆自己PR例
「私は接する人ごとに態度を変えることは美徳でないと考えています。私が所属していた野球部の先輩にそのような人がいました。その先輩はOBに媚びを売り、後輩には理不尽な不満をぶつけていました。
周囲には尊敬する者も、親密な関係を望む者がおらず、先輩の態度を見兼ねた顧問が厳重注意として試合出場を停止されたこともありました。
自分の保身のために、人間関係を築くことは自分の首を締めることと学びました。強者に媚び、弱者に権威を振るうような人は、周囲との摩擦を生んで自身と周囲の人々が不幸に陥ることと思っています。
社会人の世界においてそのような人間は、信頼感の欠如につながり、自身も会社にも不利益を及ぼすものだとして、気をつけなければならないと思っています」
自己PR例文③「人を助ける・喜ばせる」
◆自己PR例
「私は人に与えることは素晴らしいことであると思っています。記憶に新しい大震災において、私は被災者として苦しい生活を余儀なくされたことがありました。心身ともに疲弊していた私に、同じ被災者である友人がわずかな食料を私に分け与えてくれたのです。
その時の友人はとても穏やかな表情で、与えることに喜びを感じている様子でした。
与えること、すなわち人の助けや喜びにつながる行為は人間の美徳であると体感しました。求める人に必要なものを与えることによって、相手を満たすことができます。
例えばそれが部下だった場合、モチベーションアップによる生産性の向上であったり、クライアントであれば信頼の獲得と関係性の強固を果たせるのではないかと考えています」
・価値観やモットーを一言で表せるようにする。
・価値観が育まれた経験・背景についてストーリー調で語れるようにする。
・価値観が、その後の人生で役に立った具体的な場面について話せるようにする。
・社会人になってから、その価値観がどのように活かされるのか説明できるようにする。
(2)自分の強みをアピールする場合の自己PR例文
強みとは、同じ分野で他の学生と比べたときに差別化を図れる優位なポイントのことをいいます。企業側が採用したい学生同士を比較した際に、決め手にもなりうるポイントです。また、自分の強みを理解している学生は自己分析に優れていると評価されやすいです。
物事を客観的に捉えることができると、さまざまな状況に冷静に対応できると見込まれるからです。
自己PR例文④「責任感」
◆自己PR例
「私の強みは責任感があることです。学生時代ではサッカー部のキャプテンとして、部内を牽引してまいりました。監督、コーチに任されたことは必ず成し遂げ、部員の悩みやスキルの向上など、彼らの活動が円滑になるように寄り添そってきました。
キャプテンとして要求されたことは決して中途半端にせず、自分のもてる力で全うしてきました。社会人になると、社内でもお客様からも与えられる仕事や任務がありますが、責任もって務め上げる自信があります」
自己PR例文⑤「協調性」
◆自己PR例
「私は協調性に優れていると自負しています。所属していたテニスサークル、大学のゼミ、アルバイト先では、活動を共にする仲間の存在を常に意識していました。誰一人孤立することがないよう、声をかけたり、話を聞いたりして、メンバーの一体感を維持するように努めてきました。
企業における協調性は重要であると考えており、メンバーの連帯感を高めて、大きな業績を出すためになくてはならない力だと思っています」
自己PR例文⑥「情報感度の高さ」
◆自己PR例
「私の強みは、得意分野に関する最新情報をいち早く入手することです。学生時代はゼミで学んだプログラミングに興味を持つようになり、独学で学びを深めるようになりました。技術は日々進歩するため、常に新しい情報をキャッチアップできなければ自分の技術は時代が求めるものとかけ離れてしまうと思っています。
会社や顧客が求める製品を提供するためにも、新しい情報を常に入手するスタンスをこれからも心がけていくつもりです」
<PRポイント>
・自己分析に基づき、客観的に表現できるようにする。
・アピールする強みは1つに絞って強調する。
・企業が求める人材と強みを絡めるようにする。
5.まとめ
企業にとってインターンの位置づけはそれぞれですが、少なからず会社に利益をもたらす人材の確保を目的としたものであることは間違いありません。インターンに応募する学生は企業にとって優れた人材であるかどうか見定められているのです。インターンでの実績は良くも悪くも本選考に影響を及ぼすと考えてよいでしょう。
近年、特にベンチャー企業などではインターンから本採用につながるケースが増えています。仕事を通じて学生の人間性、能力といったものを計り知ることができ、会社の人間として受け入れたい人材と判断された後に採用されるのです。
そのインターンの資格を得るためにも、自己PRは真剣に作成しなければなりません。どのような学生なのか、企業は提出された自己PRでイメージをします。そのイメージが企業が求めるものと合致すると判断できた学生が、インターンに採用されるようになるのです。
インターンは本選考につながる重要な機会と認識し、提出する自己PRは不備なく準備するようにしましょう。