【企業分析】大手広告代理店、博報堂に入社するには!

広告代理店としてとても有名な博報堂ですが、その博報堂に入りたい!という方は大勢いるかと思います。
今回はその博報堂がどういった会社で、どこに強みがあるのかなど企業分析をして行きます!

そして、新卒で入社を目指す学生も中途で転職を目指す方も役に立つ、求人情報や選考情報に関しても研究していきます!

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1.博報堂の強み

博報堂の最大の強みと言える分野は、 クリエイティブだと言えます!

「クリエイティブの博報堂」とも呼ばれるほどにこの部門に強みを持っており、著名なクリエイターも多数輩出しています。

更に、カンヌ国際広告祭でグランプリを2度受賞したことがある博報堂はアジアの広告代理店では博報堂のみだそうです!

博報堂の強みは記事の後半でまた詳しくお伝えいたします!

通常版

2.博報堂とは

⑴会社概要

社名 :株式会社 博報堂
創業 :1895年10月6日
資本金:358億4,800万円
代表取締役社長:水島正幸
売上高:9,470億5,400万円(2017年度)
社員数:3,481名(2018年4月1日現在)
本社 :東京都港区赤坂5丁目3番1号 赤坂Bizタワー

平均年齢:42歳
平均年収:1,057万円

また、初任給は大卒で28.5万ということからも給与は高水準であると言えます。
最大手の電通と比較すると平均年収は200万円ほど劣りますが、初任給は4万円ほど高い水準となっています。

⑵博報堂の事業内容

広告代理店として有名な博報堂ですが、広告代理店と一言で言っても普段目にする広告が完成するまでには、プラン・戦略の作成や、方法を決めてクリエイティブの作成など様々なプロセスが必要です。
博報堂もそういったプロセスを行うために事業を合計12種類に分けて運営しています。
以下が事業内容の一覧となります。

1マーケティング
2クリエイティブ
3プロモーション/アクティベーション
4デジタル
5コンサルティング
6PR
7メディア&コンテンツ
8リサーチ
9グローバル

<シンクタンク・専門知識・プロジェクト>
10 生活総合研究所
11 R&D
12 その他のシンクタンク・専門知識・プロジェクト

以下では博報堂の主要事業の詳細を見て行きます。

①マーケティング

マーケティングは広告の作成だけでなく、他の企業がにとっても運営していくためにも欠かせない要素となってきます。
近年はデジタル化の加速によって膨大な情報を得ることができるようになり、その情報をどう効率的に扱っていくかが重要になっています。

博報堂では以下のようなメソッドでマーケティングを形成しています。

・生活者データ・ドリブン“マーケティング”
博報堂が独自に蓄積してきた生活者(消費者)のデータになります。
蓄積したデータからクライアントのマーケティング課題への最適解を導く手立てとしています。

・インサイト分析
商品の質がほぼ同じ場合には消費者は特に理由なく商品を選びます。無意識のうちに選んでいてもその奥には洞察が潜んでおり、そのインサイトをどう刺激し商品やブランドを印象付けていくかが重要です。
→博報堂は「生活者発想」を会社の哲学としてこの分析に努めています。

②クリエイティブ

クリエイティブは広告の顔となるデザインの部分です。
このクリエイティブから見る人の心を動かし、価値の共有、購買行動の誘発を促します。

博報堂はこのクリエイティブにて国内外を問わず賞を受賞しています。以下ではその幾つかを紹介して行きます。

Sony Interactive Entertainment/Gravity Cat

「第21回アジア太平洋広告祭(ADFEST)2018」、「New York Festivals International Advertising Awards 2017」 「第57回 ACC トーキョー・クリエイティビティ・アワーズ」などでのグランプリを受賞

高崎市/絶メシリスト

「第58回 ACC トーキョー・クリエイティビティ・アワーズ」マーケティング・エフェクティブネス部門でのグランプリを受賞

④デジタル

広告業界もデジタル化の進展により、大きく変わりつつあります。
デジタル広告では消費者の行動だけでなく、行動に到るまでの意識や価値観までもが把握可能となりました。
博報堂もこのデジタルマーケティングにおける競争にて体制を整えています。

主にはデジタルマーケティングにおいてそれぞれ強みを持つ子会社を立てて対応しています。
<子会社例>
・スパイクボックス
・博報堂ダイレクト
・博報堂アイ・スタジオ
・デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)   など

⑤コンサルティング

コンサルティング事業においてはクライアントの事業・サービス開発、商品開発、人材・組織開発などを中心にブランド戦略の立案とマーケティングプロセスの改善を通じた事業成長を目指しています。

⑨グローバル

・18の国と地域に展開中
・中国、マレーシア、インドネシアなどのアセアン地域を中心に展開。中国には北京、上海、広州など20以上のオフィスを設置。

・海外生活者データも蓄積
生活総合研究所を中国の上海とタイ・バンコクに設立
商品カテゴリーやブランドに関する意識・行動調査を2000年よりアジアを中心に16都市で行なっています。

・海外事業においては、クライアンとの海外進出計画策定において進出国の選定、マーケティング戦略・実施の支援、進出後のグローバル・ブランドマネジメント計画策定、現地法人活用などの支援を行なっています。

⑩生活総合研究所

この研究所は1981年に設立して以来、30年以上に私生活者研究を続けているそうです。
生活者の価値観を時系列調査で追跡することで実験的な手法から未来への兆しを見出す、生活者に対して多角的な観点から研究し、市場や業種の枠を超えた俯瞰的な立場で活動しています。

2012年には中国の上海に「博報堂生活綜研」、2014年にはタイ・バンコクに「博報堂生活総研アセアン」を設立し、研究エリアを国外にも広げています。

・知識公開
収得した情報から様々な兆しやデータを分析し「みらい博」というレポートとして毎年提言活動を行なっています。

「来月の消費予報」や「みらい年表」など、生活者に関する最新のナレッジを生活綜研のウェブサイトやSNSを通じて配信しています。
約1,500項目にもわたる多角的な質問で生活者の様々な意識の変化を調査する「生活定点」を隔年で実施し、20年以上蓄積しているこの調査データを無償で公開しています。(http://hakuhodo-hill.com/)

3. 博報堂の売上高

続いては、博報堂の売上高の4年間の推移を見て行きます。
同時に近年統合した大広と読売広告社とも売上高を比較します。

博報堂DYメディアパートナーズ3社共に売上高は上昇傾向にあります。
博報堂は2016年度に前年比で下がったものの、2017年度には復調し、2014年と比べて4年で113%の伸び率を記録しています。

4. 博報堂の経常利益/当期純利益

・経常利益:売上高からコストを引いて出た企業の本業から出た利益に、投資して得た金融収益(営業外収益)を加えた金額になります。
・当期純利益:当期純利益は経常利益から特別損益を足し引きし、税金等を引いたものになります。

経常利益と当期純利益も売上高と同じように上下しています。
2014年度から2015年度にかけては当期純利益が126%伸びています。こちらは、利益率が上昇した際に販管費のコストを抑えたことにより業績向上を達成することができたそうです。

4年間を通じて乱高下がなく、安定した盤石な経営を行うことができていると言えます。
広告業界は、クライアントの業種の動向や業績によって年々収益が左右されますがその中でも安定した収益を保つことができていると言えます。

5博報堂の強み

広告代理店といえば電通、博報堂、ADKなどが有名ですが、それぞれはどの分野に強みがあるのでしょうか。
売上で言えば電通がダントツで一番高く、博報堂の2倍以上の売上を出しています。
また、ADKは電通の1/5ほどの売上しかありません。

そんな中で博報堂が最も得意とするのは、 クリエイティブになります!
「クリエイティブの博報堂」とも呼ばれるほどにこの部門に強みを持っています。糸井重里や佐藤可士和などの著名なクリエイターが所属しています。

電通が体育会気質な社風があり、広告営業力であったり時代の潮流をいち早く読み取り行動する戦略をとっています。
それに比べ博報堂は「粒ぞろいより粒違い」を人事制度で意識されているように、個性を重視し発揮できるような社風となっています。また、「生活者発想」を重視し集めたデータを分析し消費者にどのような広告を出すことが最適かを分析しています。

6.博報堂の採用・選考基準は?

⑴ 博報堂で活躍しやすいのはどんな業界・業種の人?

「粒ぞろいより粒違い」という表現がよく使われるように、多様な分野に強みを持っている社員が集まることでクライアントの課題にも幅広く対応することができ、会社としても楽しく強くなることができると博報堂人事局局長江崎氏は述べています。

そのため、博報堂ではこういう人材が欲しいという規定を作らずに来てくれた人の良いところを引き出していく面接を行なっています。面接を受ける側も無理に気張らずに自分のどういった強みが博報堂で活かせるのかをアピールしましょう。

⑵ 博報堂が魅力を感じる人材とは?

先ほども博報堂人事局局長の方が述べていましたが、博報堂は採用時に明確な欲しい人物像を基準化していないそうですが、好まれる条件としては「人の考えを聞いてアイデアを変えていけるだけの柔軟性」があります。
クライアントの意向に沿ってソリューションを考える広告業においては自分のしたいことではなく、クライアントのしたいこと、クライアントによって良いことといったように自分の意見のみを通すことは好ましくありません。

⑶ 博報堂に転職して年収相場(給与)は?

博報堂においての平均年収は1,035万円です。
ポジションや役職によって差異はありますが、2〜4年目で700万円以上、30歳で1,000万円を超える人もでてきます。
40歳では1,200万円〜1,400万円ほどで、局長クラスになると年収がそれ以上になります。

業界として、給与水準は高いことが特徴で、若手においても高水準ですが、その分残業も多くなります。

⑷ 博報堂の選考フロー

①面接

面接では中途採用というよりもほぼ新卒と同等として見られ、経験よりもポテンシャルが重視されます。従って、面接中も経験を全面的に押し出すのではなく、自分がどういう個性を持っていてどこが博報堂とマッチするのかをアピールしましょう。

面接では先ほど述べた、博報堂が魅力と感じる人物像の他に、精神的なタフさや頭の回転力の速さも見られます。
給与が高い反面、残業も多いタフな環境で耐えられる精神力を備えているかを注視されます。また面接では質問数が多く、その中で難易度の高い質問も出てくるため頭の回転の良さが求められます。

中途採用の面接では以下のようなことが聞かれています。
総合広告代理店でどのようなことを実現したいか?
具体的に担当したい業界・会社などはあるか?
入社後はどんなことを成し遂げたいか?またどんな仕事をしたいか?
どんな広告が好きか?

どんな目的意識、ビジョンを持ってキャリアを描いており、博報堂にてどんな仕事がしたいのかが聞かれます。また、広告代理店で働くからには普段からマーケティングに目を傾けており、マーケティング戦略を体型的に立案できる人材を求めています。

また、「博報堂に入った際の同期よりも自信がある点、ない点のそれぞれを教えてください」といった、中途で入社しどう活躍できるのかといったことも聞かれます。

新卒の場合ですと面接回数は3回ほどありますが、中途採用では面接が2回しかなく、1次面接を通過すると次は最終面接になります。

②SPI

面接の前段階には筆記試験があり、新卒と同じであれば、SPI形式のテストセンターが課され、言語・非言語・性格テストに加え、構造的把握力問題が出題されます。

言語、非言語テスト
「問われていることが何かを正しく理解し、どういったプロセスで考えれば答えが出そうかを合理的に考え、効果的かつ効率的に処理して行く能力」を測ります。

言語分野:言葉の意味や話の要旨を的確に捉えて理解できる力を測る問題が出題されます。
非言語分野:数的な処理や、論理的思考力を測る問題が出題されます。

検査の結果は得点の高さではなく、企業が求める能力の水準を満たしているかが問題となります。

性格検査
日頃の考え方や行動などについて様々な質問から選択し、その人がどのような人で、どういった仕事や組織に向いてそうなどといったことを把握するための検査になります。

構造的把握力問題
複数の選択肢の中の文章や問題の構造を把握し、その構造に応じて2つに分類するという問題が出題されます。この問題を採用している企業は限定的であるため、初見では難しく対策をしておく必要があります。

8.博報堂出身の有名人

広告代理店の出身は面接で聞かれることもあるので、2〜3人知っておくと安心です。
ただ名前を覚えるだけでなく、なぜその人のことを覚えているのか、その人の作品などを知っておくと良いです!

大貫卓也氏

1980年に新卒で博報堂に入社後、4年目に手掛けたとしまえんの仕事でいきなり東京ADC賞を受賞し、以降も続々と話題作を生み出し「クリエイティブの博報堂」としての象徴的な存在とも呼ばれています。

そんなキャリアの起点となったとしまえんの広告を作る時はかっこいい、おしゃれな広告を作ろうとしていたそうですが、広告の本質は目的のために機能することだと気づいたそうです。
その後、目的達成のためには惜しみなく自身の作家性や自分を捨てて本物のアートディレクターになると意識するようになったそうです。


当時主流だったかっこよくてハイセンスな広告とは真逆のこの広告を作成したとき、若手に一度回ってくるかのチャンスでこれを出して良いのか相当迷ったそうです、、。
ところが上司や世の中の人々に大ウケし「これぞ究極の広告!」とも評されたそうです!

大貫氏のその他の作品の一部を以下でご紹介します。
・ペプシコーラ「ペプシマン」
・福岡ソフトバンクホークス ロゴ
・資生堂TSUBAKI(ボトルデザインから広告デザイン)
・日清カップヌードル「hungry?」

佐藤可士和氏

佐藤氏は上述の大貫氏に憧れて博報堂に入社しました。
2000年に独立し自身のクリエイティブスタジオを設立しました。

広告だけでなく、ブランドアーキテクトとしてユニクロや楽天グループ、セブンイレブンジャパンのプライベートブランドリニューアル、今治タオルなど数々のプロジェクトを手がけています。
以下でその佐藤氏が手がけたプロジェクトの一部をご紹介します。

広告
・ホンダ「インテグラ」「ステップワゴン」
・大塚製薬「カロリーメイト」
・パルコ

ブランディング
・キリンビール
・キリンビバレッジ
・TSUTAYA
・NTTドコモ
・ユニクロ(英語表記とカタカナ表記のロゴデザインも手がける)
・サマンサタバサ
・カップヌードルミュージアム(施設監修も担当)

ロゴ
・楽天
・ヴィッセル神戸
・今治タオル
・国立新美術館
・東京都交響楽団

                     

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