【財務比較】大手インターネット専門広告代理店4社を比較!

通常版

前回までは電通、博報堂、ADKといった大手広告代理店を財務分析してきました。そこで今回は、インターネット広告を専門的に扱う代理店の財務を分析していきます。

今回比較するのは、サイバーエージェント、DAC、オプト、セプテーニの4社です!

今回は主に財務状況とセグメントを比較していきます。
各社それぞれ特徴があり、広告以外にもそれぞれ他の事業も始めていました。特にサイバーエージェントはゲーム事業も有名で、インターネット広告以外にも大きな売上を出しています。各社のセグメント分析は後半で分析していきます。

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大手版

1.各社の紹介

◆株式会社サイバーエージェント
サイバーエージェントは1998年に創業したネット広告代理店です。特徴としては広告事業の他にもゲーム事業も有名であり、子会社のCygamesを筆頭にヒット作を多く生み出しています。また、「Ameba Blog」や「AbemaTV」などのメディア事業にも力を入れています。

◆D.A.Consortium(デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社)
DACは1996年に博報堂、ADKなどの広告会社を中心に設立されました。現在も博報堂グループが57%の議決権を保有しています。
DACはメディアレップと呼ばれる媒体社と広告会社の仲介を行う業務を主に行っています。

◆株式会社オプトホールディング
オプトは1994年に設立され、主にマーケティング、海外、投資育成の事業を展開しています。
海外事業では中国のECモールとして第2位の規模を持つ京東集団と公式パートナー契約を結び、日本における運営を授権しています。
投資育成事業ではラクスルやジモティなどに投資を行なっています。

◆株式会社セプテーニホールディングス
セプテーニは1990年に設立されました。社名の「Septeni」はラテン語で「7人ずつ」という意味で、7人によって設立され、7課、7部門へと発展させ、7つの子会社を上場できるようにしたいという思いが込められています。
事業としてはネットマーケティングとメディアコンテンツ事業を手がけています。

4社ともに1990年代に設立され、いかにネット広告が近年急速に発達しているかがわかりますね。
それぞれ各社がネット広告の他にもう一つの事業を行なっていることもわかりました。次はそれぞれの代理店の経営規模・状況を見ていきます。

テキスト版

2.売上高

ここからは財務比較を行っていきます。
まずは初めに売上高から見ていきます。

売上高ではサイバーが他の3社を大きく引き離し、各社ともに数値としては明確に順位がついています。
サイバーの売上高はDACの2.5倍、オプトの4.5倍、セプテーニの25倍となっています。

残業版

3.総資産

総資産でもやはりサイバーが他社より大きく抜け出ています。

DACは売上高でオプトに約2倍の差をつけていましたが、総資産では差がかなり縮まっています。この理由は次の総資産回転率で見ていきます。

総資産回転率

総資産回転率は売上高を総資産で割り、総資産の何倍の売上を出しているかを計算します。この数値の目安は大体1ですが、業種によって大きく異なります。
広告業界、特にネット広告ではビジネスを行う上で必要な資産が少なく、オフィスとパソコンなどがあれば行えてしまうため資産は他の業界に比べて少くなります。そのためこの総資産回転率も4社中3社が1を上回り、DACにおいては約3回転という数値になっています。

先ほどの、なぜDACは売上高でオプトを2倍ほど上回っているのに総資産では同じぐらいの数値なのかというと、この総資産回転率に現れているように、DACの方が総資産回転率が高いからです。つまり、DACはオプトと比較して同等の資産でより大きな売上高を生み出しているということです。

通常版

4. 営業利益

営業利益は売上高からコストを引いた本業から出した利益になります。

ここでは数字の大きさよりも、売上のうちのどれだけが営業利益として残っているかが大切なのでその割合を示す次の営業利益率を見ていきます。

大手版

5.営業利益率

営業利益率ではセプテーニが他社を大きくリードしています。営業利益の額では他社を圧倒していたサイバーも比率は売上高の約8%に留まっています。

ここで、各社の売上に占めるコストの割合を見ていきます。この数値は売上高から営業利益を引いて算出されるため、コストと営業利益を足すと100になります。

ここからセプテーニの合計コストが他社に比べて低いことがわかります。
セプテーニはコストを他社よりも削減することで営業利益率が高かったことがわかります。

6.ROE

続いて当期純利益を自己資本で割ったROEを見ていきます。

ROEではDACが20%近い数字を出し、最も高い数値となっています。

また、ここでは分母となる自己資本比率(会社の資産の自己資本と負債のバランス)も重要になってくるので、次で見ていきます。総資産額が同じでも負債が多く自己資産が少なければROEは自然と高くなるからです。

自己資本比率

この数値は自己資本額を総資産額で割って算出します。例えば、サイバー資産のうちに占める自己資本は48%で、残りの52%は負債です。一方でDACは30%が自己資本で、残りの70%は負債であり、負債の額が自己資本よりもかなり多いことがわかります。

ROEの指標ではDACは約20%という4社中最も高い数値を出していましたが、自己資本比率を見ると自己資本が少ないこともROEをあげていた一因だとわかります。

ROEの目安は10%を上回ると優良なので、自己資本と負債もバランスがとれ、ROEも15%前後のサイバーとセプテーニは特に効率的な経営をしているということができます。

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7.セグメント分析

セグメント分析では、各社がどの事業で最も大きい売上を出しているかに着目します。

①サイバーエージェント

広告だけでなくゲーム事業も有名なサイバーエージェントですが、売上の半数以上は広告事業が占め、ゲームは36%という状況でした。近年はメディア事業にかなり力を入れ、投資を続けていますが、売上としてはまだ大きな比率を占めていません。
次に各事業における具体的な売上と利益の数値を見ていきます。

・メディア事業では売上は出しているものの、それ以上に投資を行っており、マイナスの損失を出している状況です。
・ゲーム事業では2番目に高い売上を出しており、利益としては最も多く生み出している事業です。ゲーム事業の利益率は約20%となっています。
広告事業は最も高い売上を出しているものの、利益ではゲーム事業に劣っています。利益率はゲーム事業が約20%であったのに対して約8%となっています。

②DAC

DACは売上のうちインターネット関連事業が99%を占めています。

インターネット関連事業の内訳では、エージェントソリューションとメディアソリューションの売上はほぼ同等となっています。しかし売上総利益ではエージェントソリューションが2倍ほど上回っています。

③オプト

オプトもマーケティング事業が売上の96%とほとんどの割合を占めています。
マーケティング事業では年々売上も営業利益も共に成長を遂げています。
海外事業においては中国で規模第2位のECモールである京東集団と結んだ契約での売上高が順調に伸びています。営業利益はまだ赤字ですが、年々減っているためこれからの成長が見込めます。

④セプテーニ

セプテーニも同様にネット事業での売上が大半を占めています。
メディアコンテンツでは子会社のコミックスマートが2013年から連載型の漫画配信サービス「GANMA!」を運営しています。2017年はメディアの規模を拡大させるために大型投資を行ったために営業利益の損失が増えています。

8.まとめ

いかがだったでしょうか?
会社の規模としてはサーバーエージェントが群を抜いていますが、経営効率では各社ともに持ち味を出していました。自己資本比率などからも各社の経営方針が少し違っていることを読み取れました。
セグメント比較では、全社においてインターネット広告事業が大半を占めていたものの、各社ともに何かもう1つの事業にも参入していました。

                     

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くんへい

広告代理店でインターン中。サッカーとトレーニングをこよなく愛しています。好きなサッカーチームはFCバルセロナ、好きなトレーニングメニューはウェイティッドディップスチェストバージョン。