企業CMにも引っ張りだこ!若者が熱狂する「ラップバトル」とは?

突然ですが皆さん、この動画を見た事はありますか?

これは、皆さんご存知のチョコ「ブラックサンダー」のCMです。非リアの代表である「黒いイナズマ」がリア充をラップバトルで制裁していく、というCMです。2017年3月までで4本の動画がYoutubeに投稿されており、合計再生回数は700万回を超えています。

今、若者の間で「ラップバトル」が空前のブームになっています。これに着目した企業は、CMにラップバトルを多用するようになっています。つまり、「ラップバトル」は若者にとって今や一大トレンドとなっている訳です。

このラップバトルですが、知れば知るほどその魅力に惹かれていきます。筆者は最近頭の中で常にラップが流れている始末です。

今回は、そんな広告業界でも注目されている、ラップバトルの魅力を紹介していきます!Check it Out!

1.そもそもラップバトルとは?

ここまで読んで、「で、結局ラップバトルって何なの?」という読者の方も多いと思います。

ラップバトルとは、音楽に乗せて即興で言葉を繋げる口喧嘩のようなものです。この音楽の事を、ビートと呼ぶのですが、対戦者はこのビートに乗せて相手にディス(悪口)のような言葉を吐いていく訳です。これを代わる代わる数小節続けて、最終的に勝敗が決まるのがラップバトルです。

ラップバトルは通称MCバトル、フリースタイルバトルとも呼びますが、ラップバトルの醍醐味は「即興」にあります。ここで、一つ動画を見てみましょう。

これは現役最強と呼ばれるフリースタイルラッパー、R指定の試合です。ラップバトルの凄いのは、これだけ多彩な言葉をビートに乗りながら即興で繋いでいる事です。ここにラップバトルの醍醐味と緊張感があります。一度真似事でやってみれば分かりますがフリースタイルラッパーの頭の回転の速さはハンパじゃないです。

2.バトルの勝敗は何で決まるの?ラップバトルの四要素

当然「口喧嘩」ですから、この対戦者が喋っている内容で勝敗が決まる訳なのですが、この勝敗を決める要素は何なのでしょうか?ラップバトルの勝敗を左右する要素は大きく4つだと言われています。

(1)ライム(韻)


一つ目は、「ライム」、すなわち韻を踏む事です。ビートに乗りながら、如何に上手く韻を踏めるかがラップバトルの優劣を決める重要な要素になります。

A「俺は就職したいぜ広告」

という言葉に対して、

B「お前他の業界見えてねえ盲目」

と返せば「広告」と「盲目」で韻を踏んだ事になります。これがライムです。相手の言葉に対して韻を踏みつつ言葉を返す(これをアンサーと呼ぶ)のが主流のラップバトルのスタイルだと言えます。

(2)フロー


二つ目は、どれだけリズム感良くビートに乗れるか。これを「フロー」と呼びます。どれだけライムが優れた言葉でも、その言葉が全くビートに乗っていないと聞き手としてもノリ辛くなります。
このフローもラップバトルにおいては重要な要素で、多彩なフローで言葉を繋げばその分評価されます。あえてゆっくり乗せたり、倍速で乗せたり、音程を付けたりとここはラッパーの腕の見せ所です。

(3)パンチライン


パンチラインとは、いわゆる「決め台詞」です。ライムやフローとは関係なく、「この台詞上手いな!!」と会場が熱狂するような台詞こそパンチラインです。

(4)バイブス


バイブスとは、簡単に言ってしまえば「アツさ」です。
ラッパーの口調がバトルの中で熱く、力強くなっている時に「バイブスが上がっている」と呼びます。逆にラッパーは相手に「バイブス上げてこいよ」なんて煽ったりもします。バイブスのこもったラップは、聴く人達を魅了します。

冒頭のブラックサンダーの「黒いイナズマ」役であるラッパー、MCニガリ a.k.a 赤い稲妻のラップもバイブスがこもっている事で有名です。

3.なんでラップバトルは学生に人気なの?ラップバトルの火付け役となった二つの番組


ここまででラップバトルの醍醐味、凄さは十分に伝わったと思います。あとは有名なラッパーのバトルを観てもらえれば、フリースタイルの魅力にハマっていくのはそれほど遠くないと思います。

このラップバトルブームの波は大学生に伝わっており、各大学では「サイファー」と呼ばれる、輪になってラップする集まりが結成されつつあります。

慶応サイファーTwitterアカウント
https://twitter.com/mc_rep_keio
早稲田サイファーTwitterアカウント
https://twitter.com/wase_cypher

また、名刺交換から始まる社会人ラップバトルも開催されていたりします。社会人が日頃の不満をラップで発散しに集まるそうです。
http://shakaijin-rap.jp/

では、ラップバトルは何故ここまで人気になったのでしょうか?その理由には二つのテレビ番組があります。

(1)フリースタイルダンジョン


引用元:http://www.tv-asahi.co.jp/freestyledungeon/sphone/

フリースタイルダンジョンは、テレビ朝日で毎週水曜1:26~1:56に放送されているテレビ番組で、ラップバトルを世間に大きく広めるキッカケとなったテレビ番組です。

毎週チャレンジャーが登場し、ラップバトル強者と名高い7人のモンスターを相手にラップバトルをしていく番組です。5つのステージをクリアしたら賞金100万円、という分かりやすいシステムが、若者のラップバトル熱を高めるのに作用したのだと思います。

ラップに字幕がついているので、初心者にも分かりやすく、ラップバトルの魅力を理解するためには絶好のテレビ番組だと思います!

(2)BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権


引用元:http://imlv40.hatenablog.com/entry/2016/03/26/124427

こちらは、BSスカパー!で放送されているバラエティ番組BAZOOKA!!!の中での1コーナーです。トーナメント形式で16人の高校生ラッパー達が優勝を決める大会で、2017年3月までに11回の大会が開催されました。

並外れた高いスキルでラップする高校生の姿は、Youtubeや、各種SNSで話題になり、こちらの番組もラップバトル人気を高める要因となっています。

4.今や一種のビジネス?広告におけるラップバトルの役割

冒頭でも述べましたが、近年企業がCMにラップバトルの要素を盛り込む例は、数え切れません。
ブラックサンダーのCMの他に、東芝のDynabookのYoutube動画も有名です。

こちらは、有名ラッパーDOTAMAと、DynabookがラップバトルをするCMです。人間vsPCのラップバトル、という構成が面白く、再生回数は100万回を超えています。「高性能なDynabook」という商品の魅力と、ラップバトルの面白さを見事に結び付けた宣伝効果の高いCM動画です。

ラップバトルは、CMの枠で放送するには少々尺が長いため、Youtubeでの動画配信が中心になっています。Youtubeにアップされた動画が、ネットやSNSで話題となり、拡散されていく事によって宣伝が為されます。

一方、テレビCMでラップバトルを用いた宣伝がされた例もあります。有名なのは、日本生命のCMです。

こちらは、29歳以下の若年層向け生命保険、という商品の魅力を、あえて子供(このラップしている少年は当時12歳だそうです!)にラップさせる事で伝えています。

それでは、なぜ企業はCMにラップバトルを多用するのでしょうか?その理由は二つあります。

一つは、ラップバトルが若年層に人気だから、という理由です。直接商品の魅力や、メッセージを伝えるよりも、ラップバトルの形式を取る事で、CMが若年層の目に留まりやすくなるからです。

もう一つは、ラップは耳に残りやすいから、という理由です。ラップのリズムは耳に残りやすく、ラップに乗せて商品・サービスの紹介をする事で、その魅力がユーザーの中で持続されやすくなります。

つまり、ラップバトルは、「若年層にアプローチでき」「メッセージが持続しやすい」という特徴を持つ一種の媒体だと言えるでしょう!

これが目を付けられ、現在ではCMでラップバトルを起用したい企業と、ラッパーをマッチングするサービスも展開されています!
ラップCM公式サイト

5.まとめ

ラップバトルについての記事、如何だったでしょうか?
この記事を読んだ上で、いくつかバトルを観てみれば、ラップバトルの魅力に取り付かれる事間違いありません。
また、ラップバトルの魅力に目をつけた企業も多々あり、ラップバトルは今や一種の広告表現となっています。

面接官から投げ掛けられた言葉に対して、自分なりの言葉でアンサーをする就活も、いわば一種のラップバトルとも言えるかもしれません。ラップバトルでのアンサーの返し方を学べば、就活の参考になるかもしれませんね!

最後に一つ注意点ですが、間違っても就活の面接をラップでしてはいけません。内定が水の泡です。 

                     

ABOUTこの記事をかいた人

人工知能の研究のかたわら広告代理店のインターン。理系の最新技術×マーケティングに興味あり。 三度の飯よりラーメンが好き。 最近のマイブームはラップバトル。